定年・退職のお金/老後資金の貯め方

定年後にパートナーが認知症になったらどうする?

「認知症にだけはなりたくない」「認知症の介護だけはゴメンだ!」と忌み嫌われている認知症。しかし、平成25年度からスタートする「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」では、在宅ケアを中心に据えています。認知症高齢者の介護の現状と利用可能なサービス、軽減措置などを中心にご紹介します。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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高齢者の14%が介護保険を利用 

介護保険利用者の85%は後期高齢者

介護保険利用者の85%は後期高齢者

「日本の高齢者人口の推計」(総務省)によると、2012年9月15日現在の65歳以上の高齢者人口は3074万人(うち75歳以上1517万人)で、日本の総人口に占める割合は24.1%。おおよそ4人に1人が高齢者という時代です。

また、40歳以上の支援・要介護給付者は440万人(男性129万人、女性311万人)で、高齢者人口の約14%に過ぎません。

さらに、認知症高齢者割合の将来推計(厚生労働省が2010年の要介護認定のデーターを基に算出)によると、認知症高齢者の日常生活自立度が「2(※)」以上となる人は、2020年には65歳以上の人口の11.3%(410万人)を占めると予測されています。これには要介護認定申請を行っていない認知症の人は含ま れていないので、実態はもう少し多くなります。
(※)日常生活に支障をきたすような症状、行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意すれば自立できる状態。

 公的な介護サービスを利用しよう

認知症で一番多いアルツハイマー型認知症は、早期発見すれば投薬により進行を遅らせることが可能になりました。介護者を悩ませる徘徊や攻撃的な行動、妄想などの周辺症状に対しても、介護者が適切な知識と指導を受けることで負担が軽減しています。「これはちょっと……」と気になる行動が目立ってきたら、直ぐに専門の医療機関に受診しましょう。認知症と診断されたら迷わず要支援・要介護の認定を受けることです。

初期~中期の認知症高齢者は、一般に介護保険の在宅系介護サービス(※)を利用することで、在宅で介護できる可能性が高いといわれます。実際に、2010年9月末時点の認知症高齢者280万人の半数が、自宅や養護老人ホームなど居宅で介護保険サービスを利用しています。
(※)ホームヘルプ、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、福祉用具等(認知症老人徘徊検知機など)の貸与、ショートステイなど。
  • 居宅                                            140万人
  • 特定施設(有料老人ホームなど)                     10万人
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)        14万人
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)            41万人
  • 介護老人保健施設等(老健と介護療養型医療施設)  36万人
  • 医療機関                                        38万人
介護保険制度以外にも、(認知症)高齢者に対して次のような公的サービスがあります。
  • 地方自治体:配食サービス、家事援助、日常生活用具等の給付、緊急通報システム、ショートステイ、認知症高齢者見守り支援事業、徘徊高齢者等ネットワーク事業など
  • 社会福祉協議会:給食サービス、車椅子の貸し出し、有償在宅福祉サービス、認知症高齢者相談、日常生活自立支援事業(※)、認知症高齢者相談など
(※)認知症などによってものごとを理解したり、判断したりすることが難しくなった人が自立した生活を送れる様に、契約によって「福祉サービスの利用援助」「日常的金銭管理サービス」「書類等の預かりサービス(保管物は年金証書や預貯金の通帳、権利証、契約書類、実印や銀行印など)」のサービスを提供する。

介護保険をはじめ公的なサービスを積極的に利用することで、介護費用だけでなく心理的負担も軽減できます。

>>介護費用はいくらくらいかかる? 次のページで確認
 
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