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人口減少・非婚社会に個人のお金はどう備えるか(2ページ目)

将来推計人口という統計が公表されました。50年後は65歳以上が5人に2人、人口は8674万人、現役世代は3500万人以上減少するという衝撃的な予測です。個人レベルではどう考えて備えるべきかまとめます。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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現在20~30歳代の世代は、どう備えるべきか

現在、20~30歳代の世代は、こうした「50年後の世界」を年金生活に入った頃、見届けることになります。平均寿命を考えれば、ほとんどの人が50年後まで生きていることでしょう。

今働いている若い世代としては、こうした老後のために備えていく意識を今より高めていく必要があります。年金給付水準が今より高まることはありえませんし、医療や介護の自己負担分は今より増えること確実です。税金も今よりかかることでしょう。さらに、老後の期間は今よりも延びます。25年から30年を意識する時代になるはずです。

60歳代を働けるだけ働き続けることは現実的選択肢のひとつですが、やはり経済的安定を老後にもたらすのは資産の確保です。目の前の家計のやりくりだけに目を取られず、先の先に備えていく意識が必要です。

しかし、まだ残された時間がたくさんあります。こうしたデータをみて、これから準備を始めても、20年以上余裕があるのがこの世代の大きなメリットです。もし、老後のための貯金枠がない、という人は今からでも年収の一部を備えて積み立て、運用することを検討してみてください。老後のことだから後で、と考えるとおそらく最後まで貯められずに60歳を迎えることになるからです。

なお、年金受給開始年齢については、67~70歳の可能性を意識していくといいでしょう。高齢者雇用については現役世代の減少に伴い確保されると考えますが、賃金水準は新卒程度になる(生活費はまかなえるが貯蓄は難しい)可能性が高いでしょう。60歳代はあまり貯められる期間ではありません。今のうちから貯めていく必要性が分かると思います。

まだ学生の場合、どう備えるか

最後にこれから社会人になる学生はどのように考えていけばいいでしょうか。

まず、年金受給開始年齢が5年程度引き上げられるのは間違いないでしょう。平均寿命が5年延びるからおかしい話ではありません(年金をもらう年数が変わらないのでこれは不公平とは一概にいえません)。

また、その頃は現役世代の人数が大きく減少していますし、今より65歳の人も元気な世の中になっているはずですから、65歳以降も十分働けるはずです。年金をもらうまでの間、無収入になる心配はあまりしなくてもいいでしょう。

それより若いうちに考えておきたいのは、人口減少社会においてどう自分の仕事を確立していくかです。国内の顧客が減る分、仕事に必要な社員の人数も減っていくことになります。自分の能力を高めて、しっかり稼いでいくことときちんと将来にお金を残すやりくりを身につけていくことが重要です。

なお、独身で過ごすか、結婚するかは個人の選択ですが、独身者には相対的に高い負担が求められる可能性はあります(子育てにかかる家庭の負担は2000万円以上だが、子は親を社会的に支えても、個人レベルでは扶養できない時代であるため、子育て世帯のみ負担を強いられる)。

また独身者はすべてを自分でやりくりすることになります。老後のことも含めてしっかり蓄えておく必要があります。

社会の変化が大きくても、個人の「財布」は守れる

まとめとして指摘したいのは、社会の変化がいかに大きくても個々人の「財布」レベルについては、個々人で守っていくことができる、ということです。

そして、社会の変化について知ることができれば、自分の生活をその変化に対応できるように見直すこともできます。こうした統計は個人レベルの家計にも大いに参考になるはずです。

ニュースを見て「大変だなあ」と言うだけでなく、しっかり備える意識を持ってみてください。

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