労務管理/給与規定・賃金規定の基礎知識

時間外(残業)手当計算時の正しいルール

給与計算で間違いが生じやすいのは、時間外(残業)手当の計算です。正規従業員は月給制が多いので、時間単価の換算が必要になります。正しい計算方法を確認していきましょう。

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就業規則など社内諸規程作りのプロフェッショナル

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給与ソフトの計算式は正しいですか?

月給制従業員の時間単価の正しい計算方法を確認しておきましょう

月給制従業員の時間単価の正しい計算方法を確認しておきましょう

2010(平成22)年の労働基準法改正で、一定時間数を超える時間外労働の割増率が引き上げられました。給与ソフトを使用して計算している企業では、設定方法を変えて対応をされたことでしょう。給与は従業員の生活に直接関わる問題です。給与担当者にとって、労働基準法などの法改正情報は常にチェックが欠かせませんね。

今回は、定例業務である給与計算(残業手当計算)が正しくできているか、適正な計算方法をお伝えします。企業実務では給与計算ソフトなどを使って自動計算することが多いですが、実はこの点が盲点になることも。ソフト導入時に設定されていた例示計算式を、そのまま使用して自社の計算をしている場合があるからです。もちろんこれでは正しい計算とは言えません。時間外(残業)手当を正しく計算するためには、計算方法に一定のルールがあるのです。今回の記事でしっかり確認をしていきましょう。

「月給制」従業員は「時給換算」する!

給与計算ルールは労働基準法で定まっています。同法は、時間単価の考え方をとっています。パートタイマーやアルバイト従業員では、1時間当たりの時給単価が決まっていることが多く、単価の問題はありませんね。問題は、正規従業員の時間単価をどう計算するかです。正規従業員は月給制のことが多く、これを時間単位に換算する必要があるのです。以下で解説します。

「月給制」従業員の残業時給の計算方法

月給制の場合の時給単価は、【月給(分子)÷月の所定労働時間数(分母)】で計算します。

1.月給(分子)のルール
月給といっても、構成は基本給もあれば各種手当もありますね。なにが入るのでしょうか。実際の給与計算で、基本給だけを計算の基礎にしていませんか?時間外(残業)計算では、基本給部分以外の手当も月給に入ります。ただし、次の手当などについては入りません。注意しておきましょう。
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
自社の計算では、上記の手当などは計算上の月給(分子)から除外されていたでしょうか。検証してみましょう。上記手当は、労働とはあまり関係ない従業員個人事情による手当なので計算上の月給とはしないのです。

2.上記手当でも算入する場合がありますので要注意!
時給相当額を低くする目的等で、従業員全員に一律に支給するような手当は、上記に列挙されていても月給に算入しなければなりません。この点間違えて計算してはいないでしょうか。次で確認してください。

(1)家族手当
扶養家族数に関係なく一律に支給されている家族手当は、月給に算入しなければなりません。

(2)通勤手当
距離にかかわらず一律に支給されている通勤手当は、月給に算入しなければなりません。

(3)住宅手当
  • 従業員全員に定額で支給するもの
  • 住宅の形態ごとに一律に定額支給されるもの
    (例:賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円)
等は、計算上住宅手当に該当しないので、月給に算入しなければなりません。

(4)臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
あらかじめ金額の確定した賞与は、これらの賃金に該当しません。月給に算入することになるので注意しましょう。例えば年俸制をとっている場合、決定年俸の17分の1を月例給与とし、17分の5を2分して6月と12月に賞与として支給する場合です。

3.月の所定労働時間数(分母)のルール
月の所定労働時間数は毎月変動します。月によって30日、31日(2月は、28日、29日)。そうすると毎月計算式が変わることになり計算が大変です。実務では、年平均で月の労働時間数をカウントすることになっています。次の例示で説明します。

1日8時間労働で、完全週休2日制、祝日、年末年始休日他がある企業の例(年365日)
  • 年間所定労働日数(就業規則等による)240日
  • 年間所定休日(就業規則等による)125日
  • 1日の所定労働時間数(就業規則等による)8時間
  • 1年間の所定労働時間 240日×8時間=1,920時間
  • 1か月平均所定労働時間数 1,920時間÷12ヶ月=160時間
1年間の所定労働時間1,920時間を12ヶ月で割って1月平均の所定労働時間数を上記プロセスで計算していくのです。上記計算例では、160時間になりました。早速自社の1月平均所定労働時間を計算してみましょう。

実際に、時間外(残業)手当を計算してみよう

給与計算ソフトの計算結果が合っているか、手計算で確認してみましょう

給与計算ソフトの計算結果が合っているか、手計算で確認してみましょう

【前記企業での具体例】

月給制の従業員 A の月額給与内訳
・基本給 300,000円
・資格手当 20,000円
・家族手当 10,000円
・通勤手当 5,000円
給与合計 335,000円

時間外手当計算上の給与額は、 320,000円
(基本給と資格手当は算入。前記、月給(分子)のルールにより家族手当と通勤手当は除外。)

320,000円÷160時間=2,000円
従って、従業員Aの時間単価は、2,000円です。

この従業員Aが、10時間残業した場合
2,000円×1.25×10時間=25,000円
となります(1.25は、時間外労働の法定割増率)。

今回は、時間外単価の計算方法と時間外手当計算の基礎となる給与額について解説しました。自社の給与計算方法が正しく計算されているか検証してみましょう。また時間外手当の計算では、その他の法定の割増率についても正しく理解することが必要です。下記<関連記事>で確認しておきましょう。

<関連記事>
残業(時間外労働・休日労働)トラブル防止対策
注意!残業代計算の割増率は一定率ではない
<関連資料>
割増賃金の基礎となる賃金とは?(厚生労働省)



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更新日:2015年04月20日

(公開日:2011年06月07日)

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