労務管理/労務リスク管理

避難訓練をマンネリ化させないコツとは?効果が期待できる実施方法

避難訓練は火災や地震などの緊急時に、安全に避難ができるようにするために欠かせない訓練です。訓練を定期的に行うこと、全従業員参加型で、役割分担を決めて実施すると効果的です。また帰宅訓練の実施ポイントも解説しています。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

避難訓練とは

避難訓練のコツは、従業員に役割分担をすること

避難訓練のコツは、従業員に役割分担をすること

避難(帰宅)訓練は、地震・災害マニュアルに記載しておくべき内容です。マニュアルに記載されていることをよく読んで理解することは大事ですが、緊急時に落ち着いた行動が取れるかどうかは別問題です。

天災事変ですから想定外のことが起こりえます。机上の論理ではなく定期的な全従業員参加の訓練がなにより大切です。参加する従業員に訓練を実施するごとに役割分担をさせて実施することがコツ。例えば避難誘導担当、救護担当等。要はオブザーバーにしないことです。
 
<目次>
 

避難訓練の効果的な実施方法

1.毎年時期を決めておこなう
できれば、年1回以上は定期的に実施したいもの。9月1日は防災の日です。この日周辺の防災週間で実施する企業が多いようですが、もちろんこの日以外でかまいません。ポイントは不定期に実施するのではなく、毎年時期を決めて実施すること。例年訓練があると認識されるので、従業員意識が高まります。

テナントビルに入居している場合では、他のテナント企業と一緒に合同で訓練を行うこともあるでしょう。

2.緊急連絡網による連絡訓練を実際におこなってみる
緊急連絡網が実際に機能するかどうか、連絡訓練を行います。社内電話、携帯電話だけでなく、パソコンや携帯メールも使って伝達します。この際、電話番号、メールアドレスに変更がないかチェックしておきましょう。連絡先に変更があった場合には、修正をして社内周知をしておかなければなりません。

3.防護訓練をおこなう
まず自身の身の安全が大切。今般のような大地震では即建物外への脱出ができません。揺れが収まるまで、机など強固なものの下に隠れることです。緊急事態発生直後の行動を確認します。

4.警報装置作動訓練、消防署への通報訓練をおこなう
社内で警報装置が設置されている場合、作動するかどうか確認します。また119番通報訓練を行います。被害状況を想定して伝達方法などを覚えます。

5.出火防止・消化訓練をおこなう
地震による火災発生だけでなく、それ以外の事由でも火災発生はありえます。電源の遮断やガスの供給停止等を実施。出火元を想定し、実際に消化器を使って消化活動シミュレーションします。

6.救出、救護訓練をおこなう
けが人の救出、応急手当等状況を設定して実施します。けが人役、救護役を決めて行いましょう。

7.避難訓練をおこなう
避難誘導訓練です。誘導の役割担当は、速やかに従業員を誘導し安全な場所に避難をさせます。近所の広域避難場所を確認しておき、当日は実際に移動してみてもよいでしょう。
 

避難訓練、消化訓練は消防署から支援をうけることができる

管轄の消防署にもよりますが、避難訓練・消化訓練を実施する場合、訓練に必要な機材(消火器等)を借りることができます。場合によっては職員に来てもらって指導をしてもらうこともできます。企業がこうした危機意識を持って訓練を実施することで、周辺企業・住民からの信頼関係も厚くなることでしょう。

防災マニュアルを活用した効果的な防災教育の実施

上記の訓練は、全社従業員の参加が原則となりますから、年1回程度となるでしょう。一方教育は、毎年数回行うことが望まれます。企業のリスク管理上から定期的に教育をしていきたいものです。この際のポイントは、防災マニュアルの見直しにあります。各部から管理職クラスを集め教育をしますが、管理職以外に毎回各部ごと一般従業員も参加させると効果が上ります。輪番で参加しますので、実施するごとに社内周知が進みます。

企業の防災対策は、企業としての危機意識が重要です。災害の一般的知識とともに、自社で起きた場合の想定リスクを都度検証していくこと。想定リスクは普遍ではありません。現場の意見を取り入れてマニュアルの見直しをしていきましょう。見直しされたマニュアルで、次回以降の防災訓練を実施していくのです。
 

帰宅マップを活用した帰宅訓練

いざ災害が起こった際、従業員の安全確保が第一。大規模災害の場合では従業員の帰宅に関しては慎重な対応が求められるでしょう。交通網が寸断された場合、建築物のダメージにもよりますが、現実問題として事業所内で安全に待機させることになるでしょう。交通網の復活後、帰宅をさせることになります。その際のポイントは「安全に帰宅させる」ことです。この際利用したいのが各種の帰宅マップ類です。

1.各行政区域を網羅した帰宅マップが有効

各地方自治体でも帰宅マップ類の提供がなされているようです。しかし帰宅の経路を考えると、各行政地域を縦断・横断して帰宅することが多いので、網羅的なマップが求められますね。民間の出版社で市販されている帰宅マップ類の活用も有効です。

2.帰宅マップで帰宅訓練

・帰宅マップで、帰宅経路を複数確認しよう
帰宅マップの配布だけでは効果期待できません。ポイントは帰宅経路を複数確認させることです。緊急時には予期せぬ交通事情が起こりえます。リスク回避のため従業員への周知徹底をしておきましょう。

・実際に予行演習をしておこう
前記のマップに記載されている各施設などを確認しながら実施します。一回でも実施しておくと、「帰れる自信がつきます」。いざという時のパニックも減少します。実施は業務に支障がでないように計画を立て、「業務」として各事業場ごとに平日行いましょう。同じ方向に帰宅するグループを編成して行うことをお勧めします。

・予行演習時の携行品
予行演習時に携行すべきことは、帰宅マップ以外には、携帯電話などの通信ツール、携帯ラジオ、簡易な食糧、飲用水など。そして忘れてはならないのが「運動靴」です。

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