肩こり

背中・肩・腰の痛みとこわばり…女性に多い線維筋痛症とは

【カイロプラクティック理学士が解説】首から肩、背中や腰、お尻など、広範囲にわたる痛みやこわばりといった症状が出る場合、「線維筋痛症」の可能性があります。原因不明で男性よりも女性に多い線維筋痛症の症状と特徴、受診すべき診療科について解説します。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

肩・腰・背中のこわばりや痛みは線維筋痛症のことも

線維筋痛症とは

痛みや自律神経失調症状がつらく、日常生活に支障がでるケースもあります


「線維筋痛症」をご存知ですか? 首から肩、背中や腰、お尻、下肢など、広範囲にわたる強い痛みやこわばりがあり、長期間に及び症状に耐え難い生活を強いられる傾向が高い疾患です。痛み以外にも自律神経失調の全身的な症状を伴うため、どうしたらよいのか悩む人もいるかもしれません。線維筋痛症は診断基準があるため、痛みや付随する症状の適切な対処には医療機関での受診と治療が必要になります。広範囲に及ぶ痛みやその他、気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。

<目次>  

線維筋痛症の主な症状

慢性的な全身の痛みが広範囲に及び、特に関節痛、筋肉痛として感じる人が多いです。痛みに過敏になるため、軽く触れるだけでも痛みます。刺激が繰り返されることでの悪化や天候、心理的なストレスなども影響し、その日の症状に変化がみられることもあります。

痛みの他にも多岐に渡る症状を伴うことも、線維筋痛症の特徴の一つです。
【伴う症状の例】
疲労を感じる・倦怠感・頭痛・頭重感・うつ・不眠・ドライアイ・ドライマウス・腹痛・下痢・便秘・逆流性食道炎・めまい・耳鳴り・過活動膀胱など。

あまりにもツライ症状が長引くことで、それがストレスとなり心身状態をこじれさせてしまう場合もあります。痛みによる疲労から精神的な苦痛を招くことも慢性化するひとつの要因となるため、自力でこの悪循環から抜け出すのは困難なります。また、脳の画像検査から痛みに関する部位に異常が生じていたり、線維筋痛症が長期化することで脳の一部が委縮していくことも分かってきています。
 

線維筋痛症の原因・検査方法

 現在の症状が何か疾患によるものではないか、鑑別するための検査を行います。線維筋痛症では、痛みの原因となる疾患が見つかりません。米国リウマチ学会が1990年に提唱した分類基準は、全身18か所の圧痛点のうち11か所以上に圧痛があり、広範囲の痛みが3か月以上続いているということです。

米国リウマチ学会は、2010年には新たな予備診断基準を提唱し、18か所の圧痛点については問わず、過去3が月の広範囲に及ぶ痛み19か所、そして、疲労感・睡眠障害・認知症状の3つと自覚している全身的な症状(頭痛・めまい・耳なり・過敏性腸症候群・頻尿・うつ など)を症候重症度としてスコアに表しています。また、その後にこの基準を改定したものが2011年、2016年に提案されています。
 

線維筋痛症のきっかけになるものとは?

原因はまだはっきりとしていませんが、事故によるムチウチ症や歯科治療での抜歯、脊椎の手術など外的要因がきっかけとなる場合と離婚・別居・死別・解雇など生活環境によるストレスや子供においては、いじめ・受験・不登校などの内因性のストレスが関わっているとされています。

このようなストレスにさらされ続けることで脳に過剰な興奮が起こり、痛みに過敏な状態になってしまいます。その痛みを抑える働きが低下していることが考えられ、発症後のツライ痛みがさらなるストレスとなり、負の連鎖に陥りやすくなります。
 

線維筋痛症を疑ったら何科にいく?受診すべき診療科

線維筋痛症の症状が表れ始めた時、かかりつけの内科へ相談する人、筋肉や関節が痛いからと整形外科・リウマチ科を受診したり、うつ症状を気にして心療内科を訪れたりと、最初に受診する科は人それぞれのようです。

どこの病院を受診するべきか迷ったり、線維筋痛症について相談したい場合は、線維筋痛症の相談・診療している病院が紹介されているサイトがありますので、ご参考にされると良いかと思います。「一般社団法人日本線維筋痛症学会」というサイト内の「診療ネットワーク参加医療機関マップ」から、医療機関を探すことができます。

線維筋痛症は、痛みを我慢し続け治療開始が遅れてしまうことで悪化する可能性もありますし、それらの症状に他の重大な疾患が隠れていないかの鑑別も必要です。気になる症状がある場合は早めに診察を受け、必要な検査を受けましょう。

また、線維筋痛症の治療法としては、薬物療法をはじめ鍼や認知行動療法、太極拳のような緩やかな動作を運動療法として取り入れることで痛みの軽減がみられるケースがあるようです。まずは正しい診断を元に、対策を考えていくことが大切です。


■参考資料

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