企業のIT活用/セキュリティ/暗号化

最初のウイルスはパキスタンから

「企業のIT活用」版トリビアの泉です。「最初のウイルスはパキスタン生まれ」「コンピュータ・ウイルスは英語ではない!」「ノートンはシマンテックが買収した会社の名前」をお届けします。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

2004年1月から「あなたの一票」と「メルマガ」を連動させ、「企業のIT導入」に関わる「トリビアの泉」を連載しています。今回はその中からウイルスに関する「トリビアの泉」を紹介します。

■最初のウイルスはパキスタン生まれ Page1
■コンピュータ・ウイルスは英語ではない! Pgae2
■ノートンはシマンテックが買収した会社の名前 Pgae3



最初のウイルスはパキスタン生まれ

最初のコンピュータ・ウイルスは1986年にパキスタンから発生しました。
最初のコンピュータ・ウイルス
最初のコンピュータ・ウイルス

Amjad Farooq Alvi、Basit Farooq Alviという2人のパキスタン人兄弟が作成したのがBrain(ブレイン)という名前のウイルスです。

1986年アメリカの多くのPCで下記のようなメッセージが出て、画面がフラッシュしました。
Welcome to the Dungeon (c) 1986 Basit * Amjad (pvt) Ltd.
BRAIN COMPUTER SERVICES
730 NIZAM BLOCK ALLAMA IQBAL TOWN LAHORE-PAKISTAN
PHONE: 430791,443248,280530.
Beware of this VIRUS.... Contact us for vaccination...

自社(ブレイン社)の宣伝内容でした。はた迷惑な宣伝です。効果は絶大で、パキスタンのラホールに住んでいた兄弟は、一夜にして有名になりました。

このBrain(ブレイン)というウィルスはディスクのブートセクターに感染するもので、ボリュームラベルが【(c)Brain】に変更されました。メモリーに常駐し、パソコンに入れたフロッピーディスクに感染しました。

作成の動機は自分達が作ったソフトウエアが不正にコピーされている状況に我慢ならず、自己複製技術を応用した不正コピー警告プログラムだったそうです。アメリカで10万枚ものフロッピーディスクが感染しました。つまり10万回の違法コピーが行われていたことにもなります。

いずれにしてもブレインはアメリカのコンピュータ文化に多大な影響を与えこの後、新手のウイルスが続々と登場することになります。

追加トリビア1 Brain社は今もパキスタンにあります。
世界最初のウイルスを作った兄弟のブレインコンピューター社は今もパキスタンのプロバイダーとして健在です。(ブレイン社はタリバンとの関係が疑われています。)同社の紹介にもBrainウイルスの話が書かれています。 → Brain NET(英文です)

追加トリビア2 Brainより古いウイルス
自己増殖を行なうプログラムの歴史は古く、ARPA-Net(インターネットの前身)で広まったCreeper(つる草)というウイルスが1984年以前に登場していたことが確認されています。
またAppleDOS3.3(マッキントシュのはるか前にApple社が出していました)のみで感染するElk Clonerというウイルスが1983年に出ており、このウイルスを世界最初にする場合もあります。

追加トリビア3 ウイルスの名前は誰がつける?
新しいウイルスを発見した専門家は、ウイルスに名前をつける名誉を与えられる慣習があります。ただし、一応の規則はあります。

Code Redというウイルスがありますが、専門家が解析作業を行っていた時にCode Red Mountain Dewを飲んでいたからCode Redというウイルス名になったという逸話があります。

ウイルス対策が必須に

毎日、山のようなスパムメールと共にウイルスメールが届きませんか?
ウイルス対策が必須に
ウイルス対策が必須に

2003年夏にBlasterウイルスが登場してから状況が大きく変わりました。従来は電子メール等に添付されているウイルスを実行してしまうことにより感染することがほとんどでした。

ところが2003年夏に猛威をふるったBlasterウイルスはパソコンをインターネットにつなぐだけで感染するようになってしまいました。OSのセキュリティ・ホールをつき、対策をしていない家庭のパソコンなどが次々とやられました。

マイクロソフト社からセキュリティ・ホールを防ぐアップデートプログラムが提供させていましたが、従来の不定期提供を改め毎月定期的に提供されるようになっています。

参考ガイド記事 Blaster作者特定、逮捕へ
「インターネットセキュリティ」中妻さんのガイド記事です。

現在では【W32/Netsky-P】というウイルスが多く、このウイルスは2004年3月に発見され対策ワクチンも提供されています。ウイルスを作ったドイツ人学生はつかまっていますが、まだまだウイルスは猛威をふるっています。多くのユーザーがいまだにウイルス対策をしていないことがよく分かります。

ウイルス対策ソフトを導入し定義ファイルを常に最新にするなどウイルスに感染して加害者とならないようにしましょう。

NetSkyがAからZまで揃う

新種が現れると、やっかいなことに少しずつ異なった亜種が作られ、ばら撒かれます。2004年に流行した【W32/Netsky-P】は16番目の亜種という意味です。

Netskyの場合は最初の亜種であるNetsky.Aが2004年2月16日に登場してから約2カ月で26種類出てしまいました。つまりNetsky.AからNetsky.Zまで全アルファベットが揃ったことになります。一回りした後はNetsky.AAとなり、現在はNetsky.AFが登場しています。

このNetskyですが、いわゆる送信者詐欺(なりすまし)を行います。メールを出した覚えがないようなサイトから「あなたの送ったメールにウイルスが発見されました」等と訳の分からないメールが来るのはこれが原因です。あなたのメールアドレスをアドレス帳に入れている誰かのパソコンがウイルスに感染している恐れがあります。 

ところでウイルスと言うと、英語のようですが実は英語ではありません。
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