企業のIT活用/情報共有/メール/SNS

グループウェア導入には社内情報の共有

情報の共有化を進めるために、いきなりグループウェアを導入しても活用されません。まずは情報の共有化ができる風土作りから始めましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

効率良い営業体制を作りたい

ある社長さんからグループウェアの導入を考えており、ぜひ相談にのってほしいという依頼がありました。

「この頃、営業力が落ちており、売上が全然伸びない状況になっている。営業マン間でのノウハウの共有などがなく、もっと効率の良い営業体制にするために社内の情報の共有化を進めたいのだが」

「それで、グループウェア導入の相談なのですね」

「先日、知り合いの社長に相談したら、情報の共有化にはグループウェアを導入するのが、最適だと聞いたもので」

「確かに、一つのアプローチではあります。では、現在の営業の仕事の流れについて確認したいのですが、いくつか質問させていただいてかまいませんか?」

「分かる範囲であれば、何でも答えさせていただきます」

「まず顧客への訪問計画ですが、どう立案されて、どう営業マンの方に伝わっていますか?」

「確か営業課長が1週間分を立案して、営業マンに指示しているはずですが」

「と言うと、社長さんは直接把握されていないのですね」

「ええ、まあ」

「営業マンの方が営業活動から帰られて、どういう形で報告をされていますか?」

「営業日報を作成しているはずで、それを営業課長に報告しているはずです」

「と言うと、社長さんは直接、営業日報を見ることは無いのですか?」

「ええ、まあ」

「営業課長さんからは、どう経営層に報告が上がっているのですか?」

「月曜の朝に幹部会議をやっており、その時に報告があります」

「それは口頭でですか?」

「ええ、口頭です」

「社長さん、どうもお話を聞いてみますと、いきなりグループウェアを導入するような企業風土ではないようですね。一度、会社を訪問させていただいてもかまいませんか」

IT導入相談で困るのがいきなりパッケージなどを導入すれば、問題が解決するだろうと思われている経営者が多いことです。 ITはあくまでツールであって、問題解決は別のところにあります。

よくよく相談内容をお聞きすると、社内のビジネスの流れがおかしい、導入できる風土が出来ていないなど、経営の問題であるケースがけっこうあります。こういう場合は、IT導入を行っても、結局使われないシステムを作ってしまうことになります。

今回のケースでは、まず共同作業(チームコラボレーション)を行う機運が企業内に生まれていないようです。実際に会社を訪問して、見てみましょう。
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