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爪切りは医療行為か?(3ページ目)

爪切り、服薬管理など、軽微と言われる医療行為も、医師法に照らせば介護職が行うのは違法行為。この問題を、「そんなことを言っていたら介護の現場は成り立たない」というユーザーの方の意見から考えてみます。

執筆者:宮下 公美子

医療行為一切をストップしたら介護が成り立たない

私の返信に対して、Kさんからこのようなご意見を再びいいただきました。

 「宮下様の意見をよませていただきましたが、やはり一律に爪切り行為は
  医療行為だから・・・という姿勢には賛成しかねます。

  訪問介護の場合はそれですむのかもしれません。
  数時間単位のお付き合いですし、訪問看護を併用できる方は併用すれば
  解決するのかも。

  しかし、特養やグループホームなど24時間365日・ターミナルまでの
  介護を引き受けている現場では、そういった家族が担う程度の
  医療行為は、介護職だから看護職だからという区別はできないのです。
  家族的な立場ですから。(在宅で介護されている家族からしてみたら、
  負担の面でも一緒にして欲しくないところだとは思いますが・・・)
  もちろん、私たち介護職も不安があればただちに看護師に
  相談しますし、往診に来る医師にも報告します、
  異変があれば119番通報します。

  きれいごとだとか、現状追認といった認識ではなく、
  当たり前のことだと私は考えています。
  法律でいうなら、違法性阻却にでもあたるのでしょうか。

  ホームのお金で訪問看護を入れるなんてことは、
  まず無理だと思います。
  介護も慈善行為ではなくビジネスですから。
  負担はすべて利用者負担。
  採算がとれない介護事業に、安定した継続したいい介護を望むことは
  難しいと思います。
  あるいは公費負担?
  国民の介護保険料負担をまたまた増やします?

  社会には、形式的には法律行為に触れても実質的には問題にならない
  ものがたくさんあります。
  車の運転にしてもそう。人の命を奪うかもしれない車の運転行為を、
  免許証と引き換えに違法性阻却して国民に認めているのは、
  それなりの必要性があるからです。
  介護スタッフと医療スタッフとの連帯。これがこの場合の免許証に
  あたると思います。
  事故がおきたら確かに違法行為。
  しかし、おきるかもしれないことを前提に一切をストップしてしまう
  のでは、介護そのものがなりたたないと私は考えます」
  (Kさん・女性)

「一切をストップしてしまうのでは、介護そのものが成り立たない」。
現場で奮闘している方だからこその重い言葉です。
しかし、それでも私は賛成は致しかねます。
次のページに続きます。
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