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石川遼プロも使用!ツアー・イシュー発売へ(3ページ目)

ギアマニアの間で、話題のシャフト、「ダイナミックゴールド ツアー・イシュー」が、いよいよ12月から限定発売。石川遼プロも実使用する高精度アイアンシャフトを紹介します。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド

ゴルフクラブの誤差問題は根深いが……

シャフトの硬度を測るセンターフレックス計。方向によるシャフトの硬さも計測可能。こうした専用器具で精度を高めているショップは少なくない
メーカーでは、「ツアー・イシュー」が限定品になった理由のひとつに、精度を上げると歩留まりが悪いことをあげています。歩留まりとは製品の良品率のことで、つまり精度を求めれば求めるほど、不良品(精度の高くない製品)が多くなるのでコスト高となり、通常ラインナップするのには無理があるということです。

平たく言えば、精度の低い製品が出ることは、ある種の前提であるということです。重量精度を高いレベルで求めると、必然的に1本あたりの単価は高くなります。「ツアー・イシュー」は、通常「ダイナミックゴールド」の1.5倍くらいの価格になる見込みですが、それもある意味では当然といえるでしょう。

その精度も重量に関するのみ。製品の曲がりや硬さの差異などは、「ツアー・イシュー」に関してもそれなりの誤差が出るものと予測されます。一部のゴルフ工房では自社基準を設けて、何本ものシャフトのうちから、重量、硬さ、曲がりなどの誤差が少ないものを選んで装着するなどの取り組みを行っているところもあります。しかし、まだまだそうしたサービスを行うショップは少数。何より、こうした作業にはかなりの手間とコストがかかります。頼む側もそれなりの出費を覚悟する必要があるかもしれません。

ゴルフクラブ自体が、手作業を多く介する工業製品であることもあり、シャフトやグリップに至るまで誤差や精度の差は現状どうしても生まれます。一方、ゴルフは距離や方向に正確性を求められるスポーツですから、道具による誤差などは極力少なくしたいもの。シリアスな上級ゴルファーほどその傾向は強いでしょう。

これまで以上に、クラブの精度を上げることは理論上は十分可能。しかし、当然コストは跳ねあがります。1987年に当時の技術を駆使して超高精度、限定300セットで発売された「倉本モデル264」は、なんと120万円! 工業技術が向上した今日においてもゴルフクラブに精度を求めれば求めるほどコストはかかるでしょう。

ゴルフクラブの誤差の問題は根深く、ゴルフメーカーを非難する声が少なくありません。ガイド自身も数度のロフト差や、シャフトの曲がりなどに遭遇したことが少なくなく、落胆した経験があります。しかし、個人的な見解をいえば、ある程度の価格で、ある程度の精度の製品が流通する意義は決して小さくないと思います。もともとゴルフは、道具の価格が相対的に高いスポーツです。最近は新しくゴルフをはじめるゴルファーも少なくないですが、道具が安価であれば、それだけスタートの敷居は低くなると思います。

一方、ゴルフに熱中し、お金も時間もかけられるゴルファーや、クラブにこだわりスペックにこだわるゴルファーは、相応のコストをかけて自分の求める理想のクラブセッティングを追い求めるといいでしょう。

問題は、こうした現状があまり知られていないことではないかと思います。やはり都合が悪いことも多いらしく、ゴルフメーカーの中では誤差を認めなかったり、小さめに把握していたり、看過しているところもあるようです。まずは、実勢の調査と情報開示が必要ではないかと考えます。

「ダイナミックゴールド ツアー・イシュー」の発売とその熱狂は、図らずもゴルフクラブの精度の問題を改めて浮き彫りにしています。まずは、マイクラブのスペックについて考えてみる良い機会なのではないかと思います。



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