営業マンの手帳の選び方・使い方とは?
仕事上の大切な伴侶、手帳
デジタルよりもアナログで
みなさんの中には、PDA派と手書きのアナログ派がいると思います。私は手帳についてはアナログをオススメします。
アナログ手帳のいいところは、スピーディーなところ。お客さんとの打ち合わせで、スケジュールや確認事項の話になったときに、パッと取りだしてすぐに書くことができます。また電車の中など、ちょっとしたすきま時間や移動時間にやるべきことを思いついたときに、素早く「To doリスト」に書き加えることもできます。
一方PDAは、起動までに時間がかかります。手書きであれば、お客さんの顔を見ながら手でペンを走らせるという器用なことができますが、PDAだと画面に集中しなくてはなりません。そのためPDAだとついめんどくさくなって、メモをとることを怠りがち。「スケジュールについては後ほど電話で相談しましょう」と後回しにしているうちに、結局お客さんと連絡がつかなくなり、ずるずるとスケジュールが先送りにということになりかねません。
ただし最近はPDAも手書き機能が充実するなど、かなり使いやすくなってきているようです。中にはPDAでもまったく不便さを感じていない人もいるかも知れません。しかし現時点では、私はまだまだアナログの方が便利であると考えています。
胸ポケットに入る大きさと厚さの手帳を!
私が愛用しているのは、スーツの胸ポケットに入る大きさと厚さの手帳。これを「バイブルサイズ」といいます。バイブルサイズの手帳を使っている理由は、すぐに取り出しやすいから。これより大きいサイズだと、カバンの中に入れなくてはいけませんので、何かメモをしようと思うたびにいちいちカバンを開けなくてはいけません。でもバイブルサイズなら、いつでもどこでもすぐに胸ポケットから手帳を開くことができます。
ただしバイブルサイズの手帳を使いこなすためには、いくつかの工夫が必要です。
まず字を小さく書くこと。私は練習によって、小さい字を書けるスキルを身につけました。そのため大きな字しか書けなかった頃は、もっと大きな手帳を使っていました。また、書き込むスペースがどうしても少ないので、ポストイットを活用する必要が出てきます。やるべきことやアイデアを思いついたときは、手帳に直接書くのではなく、ポストイットに書いて手帳に貼りつけます。その後に、アイデアなどは別のノートに書き写すようにしています。
使い切り型? それともリフィル型?
手帳には、1年ごとに買い換える「使い切り型」と、バインダー式になっていて中の用紙を差し替えていく「リフィル型」の2つがあります。この「使い切り型」と「リフィル型」とでは、私は「リフィル型」の方をオススメします。
「使い切り型」の欠点は、自分でカスタマイズができないこと。「今回の手帳は失敗だったな」と思ったら、まるごと1冊買い直すしかありません。一方「リフィル型」は、中の用紙を自分の使いやすさに合わせて自由に入れ替えられます。試行錯誤をしながら、自分に一番合った手帳へとカスタマイズできます。
また「使い切り型」だと、書き込むスペースが限定されているため、メモ欄にお客さんとの確認事項等を書き込んでいると、すぐに容量オーバーになってしまいます。「メモできるスペースがないから、あまりメモをしないようにしている」という人もいるかもしれませんが、これでは何のための手帳かわかりません。
その点「リフィル型」であれば、メモ用紙をどんどん補充すればいいわけですから、容量を気にすることなくメモすることができます。逆に必要がなくなったり、ほかのノートに書き写したメモは捨てることができますから、厚さの調整も自由自在です。
「リフィル型」のデメリットをあえて挙げるとすれば、頻繁に入れ替えなくてはいけないので、めんどくさいということでしょうか。これはたとえば「毎週金曜日は、リフィル入れ替えの日」というふうに日常作業の中に組み込んでおくと、それほどめんどうではなくなると思います。
スケジュール表は2種類を用意
手帳の中でももっとも重要な機能が、スケジュール管理であることはいうまでもないでしょう。使えるスケジュール表選びは、非常に大切です。
スケジュール表は、長期スケジュール表と短期スケジュール表の2種類を用意します。長期スケジュール表で、年間単位、数ヶ月単位の仕事の流れをつかみ、短期スケジュール表で、1週間単位、1日単位のスケジュールを把握します。
私の場合は、長期スケジュール表は1ヵ月1ページ、見開きで2ヵ月分のスケジュールが確認できるものを使っています。基本的にはセミナーと講演の予定を記入しています。営業マンであれば、大きな仕事ごとに契約から納品までの流れを書き込んでおくと良いでしょう。仕事の進捗状況や、今後の忙しさなどが見えてきます。
一方、短期スケジュール表の方は、「一目で1週間の予定がわかるもの」と「少なくとも30分単位(できれば15分単位)でスケジュールを書き込めるもの」を選びます。これによって、この1週間でやるべき仕事の全体像とともに、その日1日の細かい時間のやりくりの仕方がつかめます。
次に、あなたの仕事の効率がみるみるアップする手帳活用術を紹介しましょう。ポイントは大きく3つです。
活用術1:情報はどんどん書き込もう
仕事効率がみるみるアップする手帳活用のポイントは3つ!
私たちが手帳を持つのは、大切な情報を忘れないように書き留めておくため。人は忘却の生き物ですから、メモをしておかないとすぐに記憶が曖昧になってしまいます。
だから情報は出し惜しみせず、どんどん手帳に書き込みましょう。スケジュールやTo doはもちろん、訪問先の担当者名や住所、電話番号、最寄り駅まで記入します。「今度の商談では、あの資料を持参した方がいいな」なんて思いついたら、それもしっかりメモします。
アイデアが思い浮かんだときも、その一瞬を逃したくないもの。アイデアって、「後でノートに書けばいいや」と後回しにしたら、ほぼ確実に忘れてしまうものですからね。「名案だったのに……」と後で悔やんでももう遅い。
けれどもさっと手帳を取り出して、一言二言書き込んでおきさえすれば、そんな後悔をすることはありません。私の場合、アイデアはポストイットに書き込み、それを手帳に貼りつけるようにしています。そうすることで手帳の容量を気にすることなく、思いつきをどんどん書き込めるわけです。
後は余裕があるときにそのメモをノートに移しておくだけ。このようにして、あなたもアイデア豊富な営業マンに変身できます。
活用術2:手帳は何度も見直すべし
私がまだ駆け出しの営業マンだった頃、部長からこんなことを言われたことがありました。
「君はこれから1週間の予定について、手帳を見ないで言えますか」
「いいえ、言えません」
「うむ。君はまだまだ甘いね。それぐらいできなくてはプロの営業マンはいえませんよ」
なぜプロの営業マンは1週間のスケジュールを、手帳を見なくても言えるぐらいにならなくてはいけないのでしょうか。答えは、仕事のスピードが違ってくるから。
スケジュールが頭に入っていれば、急な案件が入ってきたときでも、「明日の午後の空き時間で対応できるな」とか「今日の夕方やるつもりだった仕事は急ぎではないから、そっちを後回しにすることで対応しよう」といったように、対策がすぐに浮かんできます。これによって素早い対応と無駄のない時間管理が可能になります。ではどうすれば、1週間のスケジュールを頭にインプットすることができるようになるのでしょうか。
もっとも効果的なのは、1日に何回も手帳を見直すこと。電車の中での移動時間や朝目が覚めたとき、寝る前、喫茶店で一息つくときなど、ちょっとしたスキマ時間を活用します。1回につき30秒や1分ぐらいで十分です。
暗記には反復練習が一番だというのは、みなさんも学生時代の英単語や歴史の勉強で経験済みだと思います。スケジュールを覚えるのも、やっぱり反復学習が最適。「電車の中では必ず手帳をチェック!」というように、日常生活の中に組み込んで、習慣化させてしまいましょう。
活用術3:手帳はすぐに取り出せる場所に
「手帳に情報をどんどん書き込むこと」と「手帳を何度も見直すこと」を継続させるには、手帳をすぐに取り出せる場所に入れておくことが大事。そうでないと、探すのが面倒くさくなって三日坊主に終わってしまいます。
前述したように、私はバイブルサイズの小さな手帳を愛用しているので、いつもスーツの胸ポケットにしまっています。大きめの手帳を使っている人は、カバンの中でいちばん取り出しやすい場所を、手帳を入れる定位置に決めてしまうといいですね。
また、すぐにメモができるように、ペンも常に持ち歩いておくようにします。胸ポケットやカバンの中など複数の場所に入れておくと、いつでもすぐにペンが見つかるので便利です。
手帳は使いこなせば使いこなすほど、自分の脳の一部となっていきます。頭の中で考えている仕事のスケジュールやアイデアが、全部手帳に書き表されているわけですから。しかも頭の中は覗けませんが、手帳はいつでも覗けます。
手帳を存分に活用することで、仕事に追われる毎日に終止符を打ちましょう。これであなたも段取り上手のできる営業マンへと脱皮です。
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