年金/遺族年金の仕組み

30歳がターニングポイントになった遺族年金(2ページ目)

平成19年4月から、原則生涯にわたり支給されていた遺族厚生年金が、30歳を境にして取り扱いに大きな差が出ることになりました。さて、どんな影響があるのかを検証します。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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施行前に受け取っている権利はしっかり保障される

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今の年金財政を考えると、「5年打ち切り」の対象は将来拡大することが必至かも!?
この制度改悪ですが、来年の4月1日の時点で、既に遺族年金を受け取っている方については、仮に子供がいない30歳未満の方であっても権利が保障されますので、ご安心ください。

日本の年金制度は「既得権の保護」という概念があります。法律はどんどん変わっていきますが、変わる前に取得している権利は基本的に保障しています。

「5年間で打ち切り」が適用されるのは、来年の4月1日以降に受給権が発生(すなわち夫が死亡)した方からです。そして30歳の年齢は受給権が発生した時点ですから、来年の4月1日現在で30歳未満であっても、夫が死亡した時点で30歳を超えていれば「一生涯受給」が可能となります。

保護から自立へ!?

この改正の主旨は、女性であっても若くて子供がいないなら、働けるでしょう?というメッセージだと考えて間違いないでしょう。今まで年金は女性や子供を保護の対象とし、男性は高年齢者や障害を持つなどでなければ、働けるでしょう!ということで保護の対象でなかったわけですが、若い女性についても「保護」から「自立」の対象へと大きな方針転換をしたということが言えます。

国は、今後も財政が逼迫する状況を打開するため、年金を削減できるものは削減していくと思われます。やはり年金の主役は老後保障ですから、この部分をこれ以上削減するとリタイア後の生活の根本に影響を与える為、批判も大きくなります。そうするとこれからの削減は遺族年金や障害年金に矛先を向けるようになるかもしれません。

これらを受け取っている人に自助努力を求めるのは酷な面がありますから、国には慎重な対応を求めたいと思います。


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