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チェチェン紛争基礎知識(3ページ目)

ロシア政情の不安定要因、チェチェン紛争問題についての基礎知識です。広大なロシアの本当に一角の一角チェチェンがなぜこのように世界の注目を浴びているのか。キーワードは「イスラム」。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【チェチェンってどこ?】
2ページ目 【なぜチェチェンは独立を求めるのか】
3ページ目 【アメリカはじめ先進国の二重基準】

【アメリカはじめ先進国の二重基準】
「テロとの戦い」のために、ロシアの人権問題は棚上げ?


背景は違えど、イスラム過激派が起こした今回のテロ事件。おそらくアメリカもロシアが強行手段を使えば支持するでしょう。過激派の根拠地への攻撃も容認するかもしれません。イラク攻撃を支持してもらわなければなりませんから。

しかし、ロシアがチェチェンでどのような行動をとっていたのか。報道管制がしかれ、詳しいことはわかりませんが、チェチェン人の人権を抑圧していたようなことがもれ伝わってきます。

中国に対しては、人権問題にうるさいアメリカ。しかし、ロシアに関しては、どうも違うようです。あんまりうるさくいってきません。

ロシアがアメリカと同じ、イスラム過激派と戦っているという事情からくるものかもしれません。共通の敵を持つものどうしということでしょうか。でも、中国だってウイグルなど、自治や独立を求めるイスラム過激派をかかえています。

ロシアは中国とは比べ物にならないくらいの軍事大国。ロシアとの協調関係は、アメリカ主導の国際体制維持にとってかかせないことです。ロシア「国内」のことは、ロシアにまかせることにしておこう・・・ということなのでしょうか。

そして、アメリカは情勢不安定きわまりない中東からの石油の輸入を、なるべくロシアなど中央アジアに振り替えたい。そんな事情もあり、「見てみぬふり」が行われているのではないか・・・そうかんぐってしまいます。

 

いずれにせよ、そんな状況にごうを煮やしたチェチェン=ゲリラたちが、国際世論の目を引くために、あえて退路のない大規模テロに出た・・・これが今回の事件の背景のように思えます。

しかし、日本はあいかわらず拉致問題一色。イエメン・バリ・フィリピン、そしてロシアと拡大するテロ事件の輪。日本はこれに無関心でいいのでしょうか?
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