
先端医学と食でレジリエンスを高め、健康寿命と成長を見守る内科医
1994年広島大学医学部卒業。2004年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。2011年大阪大学漢方医学寄附講座准教授を経て、2017年から2025年3月まで大阪大学先進融合医学共同研究講座特任教授として、先端医学から伝統医学、レジリエンス・ケトン食などの研究活動を行い、現在は、それらの知財の社会実装を目指している。
私は、日頃、内科医として診療を行っています。早いもので、今年で32年目になります。その間に、さまざまな難病の患者さん、がんの患者さんたちに出会ってきました。 私が、回復力を意味するレジリエンスに注目したのは、ある患者さんの言葉からでした。 「先生、私、病気になっても幸せになれるって分かったんですよ。」 その患者さんは、大動脈炎症候群という難病でしたが、そんな風に話されたころから免疫抑制剤がよく効いて、その後、結婚・出産とみるみる幸せになっていきました。そんなことは偶然だと片づけることは簡単なことです。でも、私は、そんな風には感じていません。 免疫の分野では、かつて「治らない」と言われていた関節リウマチが、劇的に改善する時代が訪れました。その転機となったのが、免疫を調整する物質「サイトカイン」に対する抗体医薬の開発です。しかし驚くべきことに、サイトカインは血液中にわずかピコグラム――1グラムの1兆分の1という、ごく微量しか存在しません。1990年代までは、その量を正確に測定することすらできなかったのです。それほど「目に見えない存在」が、やがて治療の中心となり、多くの患者さんを元気にしました。同じように、漢方も長らく「効く理由は分からない」と言われてきましたが、現在では分子レベルでその作用機序が次々と解明されつつあります。そして、私が開発したケトン食療法もまた、食事という日常的な介入を通じて、体の内側の分子環境を整え、劇的な変化をもたらしています。 医療の現場では、目に見えることやエビデンスという言葉だけでは語れない何かがあります。多くの患者さんから頂いたプレゼントを、みなさんに届けたいと思います。日常の気づきになればうれしいです。
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