WTIのローカル問題に原油価格は左右されている!?
WTI原油はオクラホマ州クッシングにある貯蔵庫で受渡がされると決まっています。他の場所ではできません。そしてそのクッシングの倉庫が原油で現在満杯に近くなっていることで、近い限月(09年2月時点)には保管スペースがないとややパニックにもなり、そして投機家の思惑も重なって売り浴びせられているのです。しかしどれくらい満杯になっているかといえば現在の在庫量はたったの3300万バレルです。アメリカは1日で2000万バレル以上の原油を消費しますから、1日半分で満杯となってしまいます。同じ倉庫でもテキサスとルイジアナの地下にある政府の戦略備蓄庫は6億バレルも溜め込めるもので、3ヶ月分の備蓄が可能です。それに比べればクッシングは小さい貯蔵庫であり、半日分でも在庫が増えたり減ったりすればWTIの価格が上に下へと乱高下し、そしてそれが「世界の原油価格」となる構図です。
例えばハリケーンが上陸すればクッシングの在庫は反対にすぐ底をつきかけます。そうすると原油の中でWTIだけが暴騰するということがこれまで何度もありました。アメリカには他にも倉庫はたくさんはるはずですので、色々な倉庫で受渡が可能であれば今回のような09年2月限の急落はなく、現在最低40ドル以上で推移しているでしょう。実際のところ、09年2月限の最終売買日(09年1月20日)が過ぎた09年1月21日から原油価格が短期的に反発しているのはそういう理由です。
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