フジサンケイグループの背景事情
ニッポン放送はフジテレビの株式を22%強保有する筆頭株主です。株式保有状況から見れば、ニッポン放送はフジテレビの親会社的存在であるが、経営実態としてはフジサンケイグループのボス会社はすでにフジテレビに移っているわけです。今回のフジテレビによるニッポン放送株のTOBはこの「ねじれ」を解消しようとしたものです。フジテレビは日本の電波法によって外国人保有株式割合が20%を超えてしまうと免許取消になってしまうそうです。フジテレビはニッポン放送の保有するフジテレビ株を直接自社株買いすると商法規定によりその株式は議決権を失い、その結果議決権のある外資保有割合が20%を超えてしまうことになるため、自社株買いの方法を取ることができなかったのです。仕方なく、フジテレビはニッポン放送株をTOBにより買い占めて経営権を握ろうという作戦に出ました。
親子会社間の株式相互持合いについては、商法規定により一定の制限があります。ニッポン放送がフジテレビ株を25%超えて保有していないことや、フジテレビがニッポン放送株を50%超えて保有する予定ではなかったことは、このためです。
このTOBに乗じてライブドアが仕掛けてきたわけです。フジサンケイグループが同意の上で行っている株式支配構造のリストラクチュアリングに突如思いがけない伏兵から撃ちかけられてしまったのです。株式上場制度を軽んじたことによる、ある意味では、「市場の復讐」といえるかもしれません。
われわれ個人投資家は一連の騒動をどう考えたらよいのでしょうか。