資産運用/資産運用をするときの鉄則

投資界の神学論争 パッシブかアクテイブか(2ページ目)

ポートフォリオを構成するファンドを選ぶときに、まず決めておきたい方針が、パッシブでいくのか?アクテイブでいくのかという選択です。市場平均で良いのか?それを超えたいのか?という初期条件の設定です。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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アクテイブは市場平均を超える収益を実現


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伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチはその著書「すばらしき株式投資」で、楽しく学んで豊かに生きる投資法を説いている。
パッシブの反対がアクテイブ。アクテイブ・ファンドは積極的に、市場平均やインデックスを超過することを目指しています。具体的には、銘柄を調査・分析して価値上昇の大きそうな銘柄を探したり、株の売買タイミングを計ることにより運用成績の上昇を実現しようとします。

積極的に利益を追求して結果がでれば、投資家はもうかります。しかし、アクテイブ運用は銘柄株の売買を頻繁に行いますから、コストがかさみます。アクテイブ・ファンドのデメリットは、コストが高いことです。

コストという場合には、購入手数料と信託報酬があります。パッシブ・ファンドの中には、購入手数料のかからない「ノーロード・ファンド」もあります。信託報酬においても、パッシブは平均0.7%くらいですが、アクテイブは1.5%くらいが毎年かかります。

注意をしたいことは、アクテイブ・ファンドがすべてインデックスを超過するワケではないということです。超えようとしたけれども、超えなかった(インデックスに負けてしまった)ということはよくある話で、単にアクテイブという分類だけでファンドを選ばずに、本当に超過収益を実現してくれるファンド(投信会社、ファンドマネージャー)を選ばなければなりません。そうしなければ、コストに見合った超過収益を手に入れることができないからです。

たとえば、有名なファンドマネージャーに、ピーター・リンチというアメリカ人がいました。彼は、1977年から1990年までの14年間にわたり、マゼランファンドの運用で、市場の平均利回りを年間13%も上回った伝説のファンド・マネージャーです。これは稀有な例だとご理解ください。

【関連記事】大投資家の名言 ピーター・リンチ

アクテイブ・ファンドの中には、リーズナブルなコストで、継続的に良好なパフォーマンスを実現している優良ファンドもあります。パッシブ・ファンドよりも高いリターンを得たい人は、運用方針や銘柄選択の方法、コスト、運用成績などをチェックしたうえで、アクテイブ・ファンドを選ぶ必要があります。

証券会社等の金融機関は、さかんに新商品をすすめてきますが、その品質はまったく未知数です。選ぶ基準という意味では、過去のデータが蓄積されている、3年以上の実績のあるファンドから選ぶことが賢明だといえます。

また、ブリックスやITに特化したファンドのように、証券会社の販売促進的なテーマファンドにも、慎重であるべきです。

【関連記事】Bricsに投資

アクテイブファンドが市場平均に勝てないワケ


しかし、アクテイブなのにインデックスに勝てないことがあると書きましたが、どうしてそんなことが起こるのでしょうか?

一つには、アクテイブでは株が頻繁に売買されるとコストとしての売買手数料がその収益を下げてしまうということがあります。また、人間の判断や戦略が、自由な市場の中で当たるのかという本質的な問題もあります。

「下手な考え、休むに似たり」ではありませんが、勝てないのならパッシブ(受け身)でじっとしていたほうが得ということもあります。

ファンドマネージャーなどの専門家たちでも市場平均に勝てないワケは、市場そのものの成熟度にあるという仮説を次のページで、ご紹介します。
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