資産運用/資産運用をするときの鉄則

長期投資は良いの?悪いの?どっちなの?(2ページ目)

読者から、長期投資に対する理論が一貫していないというご批判をいただきました。二つの記事の前提条件をご説明しながら、長期投資の特徴を整理してみます。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

  • Comment Page Icon

統計の取り方から来る結論の違い


「長期投資はリスクを減らさない」といったときの、説明資料(投資期間とリターンの関係)は、無作為に抽出された株式グループの経年推移をグラフにしました。良い株式もあれば、悪い株式もあるので、良いものはより良くなり、悪いものはより悪くなるという結果がでます。その差は拡大していきます。

同じように、優良企業と零細企業の差は、いつになっても縮まりません。したがい、長期投資が良いとは言い切れないことを裏付けます。

一方で、「長期投資はリスクを減らす」といっているときの根拠は、すべての株式の平均値やある市場の株価指数です。悪い企業は淘汰されていきますから、悪い株式は退場し、良い株式は、より大きな比重を占めるようになります。

平均値や市場指標でとらえれば、株価は常に右肩上がりです。ロングスパンで考えるほどに、株価の上昇は力強い右肩上がりになりますので、株式は長く保有するほど、収益は大きくなるという結論が得られます。

優良企業と零細企業の差は縮まりませんが、国の経済力やGDPは確実に上昇していきます。調査対象を世界まで広げれば、なおさらです。価値は増幅し、富は拡大しています。ですから、長期投資は平均的な収益を投資家に与えてくれます。

ここで、学界のような議論をしても意味がありませんので、一般の方がこうした混沌をどう受け止めるべきかのアドバイスを最後にいたします。

ひと言でいえば、合理的な投資方法を長期間続けることが、ベターです。あるいは、お金が必要となるときまで信念を持った投資を続けてくださいと申し上げたいですね。

世の中には、そう行動されると困る業界がせっかちな投資をあおる風潮があるから、余計にご用心です。

●   ●   ●   ●   ●   ●

【資産運用の理論を学ぼう バックナンバー】

シャープレシオは投資の効率性を示す指標
株と債券の違いを知ってこその分散投資
ドルコスト平均法で気楽に投資を始めよう!
理論を学ぼう 本当の運用は%で考える
長期投資はリスクを減らし資産を増やす!
株と債券を分けて持つ
ローリスク・ハイリターンはありえない?
人生の期待収益率を知る
外貨建金融商品の円ベース収益率
配当利回りと配当性向とどう違う
イールドカーブで金利に強くなる
ベンチマークは投資の評価基準
超過収益率と運用手腕の評価
時間加重収益率と金額加重収益率
算術平均と幾何平均
現在価値と将来価値
分散投資と相関関数
名目金利と実質金利
リスクとはバラツキのことだった
長期投資はリスクを減らさない
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で資産運用関連の書籍を見るAmazon で資産運用の書籍を見る
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます