分散投資は常識!バランス型ファンドで簡単にできる
投資をするときに分散することはもはや常識です。分散の必要のない人は、バフェットやソロスのような天才投資家だけです。ならば、分散された投資信託を買えばいいってことかぁ?と素直な方はバランスファンドを買います。そもそも、バランスファンドってなに?そして、どんな種類があって、どのように選べばよいのでしょう?
バランスファンドは分散ポートフォリオ
分散の基本はまず株と債券の構成比率、次に株式の地域別配分比率。この2つの設計がポートフォリオの成績を決めてしまう。 |
5番目の資産としてリートを加えるバランスファンドも増えました。株、債券、不動産に分散するから3分法とか、内外の3つの資産に分散するから6資産とかとも呼ばれます。最近では、国外を先進国と新興国に分ける配分を売りにするバランスファンドもあり、8資産と名付けられています。
バランスファンドは、アセットアロケーション理論に基づいた運用方法ですので、資産配分を維持することで、長期間で安定した成績をあげようとします。
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投資収益は売買によって生まれると決め付ける人がいますが、バランスファンドはリバランスにより収益を確保します。リバランスとは、一定の資産配分を維持するために銘柄の入れ替えを行うことです。リバランスは長期投資の戦略です。
すなわち、リバランスは高くなった資産を売って安い資産を買うことで、資産配分をもっとも効率的なバランスを保とうとする、ゆったりとした運用です。
バランスファンドの種類
リターンとリスクの大きさにより、バランスファンドを3種類に分けることができます。簡単にいえば、ローリスク・ローリターン型、ミドルリスク・ミドルリターン型、ハイリスク・ハイリターン型です。こうした分け方のポイントは、株式の組入れ比率です。株式に投資する比率が高いほど、リスク+リターンが大きいと考えます。ファンドのカテゴリーを、安定型・分配型・成長型と分けている運用会社もありますし、株の保有比率をそのままラベルにして株50・株70・株100などと分けている運用会社もあります。
「リンゴとみかんを比べても仕方がない」とこの業界ではよくいわれます。あなたのバランスファンドがリンゴグループなのか?みかんグループなのか?をまず見極めてから、他のバランスファンドと比較しないと意味がありません。
あなたが賢明なる投資家であるならば、複数のバランスファンドを比較して、より良いファンドを選ぶべきです。売り手のセールストーク(客観性のない自画自賛)を信じるなんて、理性的なあなたならしないでしょうね。
分散の中身を点検する
バランスファンドの本質は、分散の実態です。たとえば、バランスファンドの代表的なものに、日興AMの財産3分法ファンドがあります。この財産3分法の標準的な組入比率は、不動産25%、債券50%、株式25%となっています(2018年2月末現在)。これは標準であって、固定されている比率ではありません。
野村AMの世界6資産も、歴史のあるバランスファンドですが、成長コースの基本的な組入比率は、不動産10%、債券20%、株式70%となっています。こちらは、リスクを小さくすることよりも、リターンを上げることを目的としています。株価がふるわないときでも株に投資していく。株式市場から逃げないで、攻撃的にリターンを狙いにいくという姿勢が見えます。
このように、バランスファンドは、その資産分散のあり方に、もっとも本質的な特徴があるので、必ずそこを点検してから、比べてください。
ファンドで財産3分法がホントに必要か?
メジャーな資産の株と債券に加えて、不動産を対象資産に加えるバランスファンドが多くなりました。バランスファンドが配分している不動産とは、リート(不動産投資信託)のことです。リートがバランスファンドに組入れられてきた理由として、近年のリートの成績が良好な状況が続いていたことが、あると思われます。
確かに、バランスファンドに不動産(リート)を加えることが、近年では有効な方法でしたが、それは永遠不滅の法則ではありません。それが、マーケット環境にマッチしているかという確認と、自分のニーズに合致しているかという点検が必要です。
特に日本人の資産構成は、圧倒的に不動産にかたよっています。金融商品を使ってまでして不動産を持たなければならない投資家は決して多くありません。ほとんどの人は、不動産は高価な自宅などの形で持っています。リートに対する期待も、ほどほどにしておかないといけません。
バランスファンドはお仕着せの資産配分
不動産を資産としてたっぷり持っている人までが、財産3分法バランスファンドを買う必要があるのかという疑問を呈示しました。しかし、ことはリート組入れの是非だけではありません。実は、このことはバランスファンドの本質的な欠点なのです。すなわち、もっとも大事な資産配分を自分で選べないということです。
たとえば、日興の利回り財産3分法の株式部分は、日経225のインデックスファンドに投資しています。つまり、世界の中で、日本の証券市場だけに集中投資しているのです。分散の原則からいえば、世界の株式市場全体をにらんで、もっと広汎な分散をしたいと、私などは思ってしまいます。でも、それを、個人投資家が直したり、調整したりすることは、バランスファンドではできません。
ファンド選定に疑問の残るバランスファンド
お仕着せの資産配分に百歩ゆずって、資産配分を運用会社に任せても満足できるとしましょう。それでも、第2の欠点があります。それは、マザーファンド選定に選択の余地がないことです。バランスファンドの中には、海外債券の部分に、ユニークなファンドに投資しているものがあります。たとえば、米国の住宅ローン担保証券や、ハイイールドボンドなどです。
せっかくバランスファンドをやっているのに、そのリターンの多くを、マイナーな資産から稼ぐというのでは、どうなのでしょう?本来のバランスファンドの意義に矛盾しないのか、心配になってしまいます。
新潮流はローコストなバランスファンド
分散を固定的にすると、機動的な人知を必要としないため、運用はローコストでできます。それならば、いっそファンドもローコストに徹しようということで、最近生まれてきたのが、パッシブなバランスファンドです。組み位入れるファンドに、パッシブなインデックスファンドやETFを採用することによって、購入手数料や信託報酬を低く抑えた商品です。
パッシブなバランスファンドには、次のようなラインアップがあります。
- 世界経済インデックスファンド(三井住友トラスト)
- eMAXIS バランス(8資産均等型)
- SMTインデックスバランスファンド・オープン
- 野村世界6資産分散投信
- SBI資産設計オープン
- ニッセイインデックスバランス4資産
○バランスファンドはお任せの分散ポートフォリオ
○不動産への投資ニーズがあるか?
○資産配分の中身を点検する
○マザーファンドが合理的に選ばれているか?
○コストに着目したパッシブなバランスファンドもあり
もっとも効率的な資産配分を、最良の投資信託で組み合わせることが、理想のポートフォリオです。