国内の株式だけでなく、海外の株式にも投資しておけば、国内のマーケットの動向だけに左右されなくなります。また、株式だけでなく債券も買っておけば、株価の変動だけに影響されない運用ができるようになります。こうしていろんな対象に対して分散をしていくのです。
確かに、分散投資を行うと、ひとつの銘柄にのみ投資して大成功したときに比べると、成功の規模も抑えられてしまいます。しかし、損失の可能性と大きさは格段に低くなります。先ほどのエンロンの一石で三鳥に逃げられるという話を思い出してみてください。
特に老後資金の運用については、高い収益を稼ぐのも大事ですが、大きな損失の可能性を避けることも大事なのです。そのため、401(k)の資産運用では、銘柄や投資対象を分散させるために、投資信託の活用がオススメになっています。
投資信託を活用することで、国内の株式、国内の債券、海外の株式、海外の債券、預貯金等、といったいろんな投資対象にバランス良く投資し、安定的に収益のチャンスを伺うことができるようになるのです。
ここまで読まれた方は、財産のほとんどで自社株を買う投資方法がこういった考え方とまったくかけ離れていることがおわかりいただけると思います。自社株をたくさん買ってしまったエンロンの社員は、会社を信じるあまり、上手な運用ができなかったのです。
これから401(k)で資産運用を行う機会があったら、皆さんは同じような失敗をしないように注意してください。コツは本当に簡単です。もし、自社株を買うとしても資産全体の数割以下に抑えればいいのです。むしろ、401(k)では自社株をまったく買わなくてもいいのです。
■401(k)に限らず、自社株投資はほどほどに!
これは、401(k)に限った話ではありません。自社株を持株会などで購入している人すべてに当てはまる資産運用の問題です。