厚生年金基金制度の大改革!

2013年6月19日、厚生年金基金制度の改革を中心とした年金法改正がありました。この問題、センセーショナルな語られ口ばかりで、実際に「誰が」「どれくらい」影響があるのか分かりにくいようです。筆者はファイナンシャル・プランナーですが、同時に企業年金の専門家でもあるので、どこよりもわかりやすく、かつ正しく、10問10答でポイントを解説してみたいと思います。

<10問10答はこちら>
Q1)影響があるのは誰?私も関係あるの?
Q2)なんで改正が必要になったの?
Q3)厚生年金基金はこれからどうなる?
Q4)厚生年金基金に入っていた人の年金は減る?
Q5)厚生年金基金に入っていた会社の負担はどうなる?
Q6)その他の会社員の年金にしわ寄せはある?
Q7)新しい企業年金の受け皿はどんな制度?
Q8)会社のほうから自由に制度を変更できる?
Q9)いつぐらいまでに動きがあるの?
Q10)企業年金はなくなるの?

Q1)影響があるのは誰?私も関係あるの?

A)影響があるのは約400万人。会社員の8人に1人に影響か
今回の法改正により、多くが解散になると思われるのは厚生年金基金という企業年金制度です。この制度は国の厚生年金の一部と、会社の企業年金を一体となって運営している仕組みです。制度に加入している人の数は426万人(2013年3月末)です。会社員の数は3400万人ほどですから、おおむね会社員の8人に1人に影響があることになります。

今回、国の厚生年金の一部を厚生年金基金で預かって管理・運用していた部分について、国に返金し、厚生年金基金の多くは解散することを求められます。財政状況の厳しいところが優先的に解散を行い、将来的にも財政チェックを行い十分な財政状況のところは今後も存続する可能性があります。

また、財政が安定しているところも、国に厚生年金分を返上し、企業年金部分を単体で存続させる可能性も高いとみられています。行政の指導、各厚生年金基金の判断などによって対応は変わってきます。

Q2)なんで改正が必要になったの?

A)きっかけはAIJ投資顧問の運用トラブルです
厚生年金基金はまもなく50年の誕生日を迎えようかという歴史のある制度です。年金制度は安定的で長期的に維持されることが大切です。しかし、2012年2月に発覚したAIJ投資顧問会社の年金消失問題が厚生年金基金のあり方に大きな問題を投げかけました。

また、この数年はリーマンショック以降のマイナス運用の結果から回復しきれておらず、積立不足を抱えた厚生年金基金が多数あったことも問題視されました。政治的にも取り上げられ、与野党、厚生労働省の1年ほどの議論を踏まえて、法律改正が行われることになりました。これは異常なほどのハイスピードでの改正です。

Q3)厚生年金基金はこれからどうなる?

A)厚生年金基金は財政状況が悪化しているところから順次解散を求められます
今回の法律では、「国の厚生年金相当分を有していない約4割」「ほぼトントンの約5割」「財政状況が安定している約1割」についてそれぞれ対応を求めていくことになります。

「国の厚生年金相当分を有していない約4割」については、2014年4月から5年間の間に早期解散を求められます。解散の特例措置なども設け、解散をしやすくする一方、これ以上厚生年金の資産を割り込まないように解散を促す、ということです。

「ほぼトントンの約5割」については5年以内の解散は要請されませんが、自主的に解散をしたり制度を変更(厚生年金分は国に返し、独自部分だけの企業年金を設立)することができます。また、5年後に財政が悪化していた場合には、解散を促されることになります。

「財政状況が安定している約1割」については特に解散や制度変更を要請されません。ただし、国の厚生年金分を国に返して、独自部分だけの企業年金を設立することは可能ですから、自主的に制度の見直しを行うところも多いと思われます。

Q4からQ7の答えは次ページで解説します!>>>