■401kでは、手数料分、節税できる!
ところで、こうした手数料が明示されているため、利用に当たっては確実に手数料分、トクをするテクニックを使うことができます。それは「節税」です。
会社員の人には縁が遠い確定申告ですが、税金は実際の収入にかかるわけではありません。各種控除を引いた後の「課税所得」に対して税率をかけて決まります。
式にしてみると、
(A:実際の収入)?(B:各種控除)=(C:課税所得)
(C:課税所得)×(D:税率)=(E:税金額)
ということです。
同じ収入でも税金を少なくするためには、(C:課税所得)を少なくする、つまり(B:各種控除)を多くすればいいということが分かります。
個人型401kでは、この税金でおトクになります。なぜなら、「個人型401kに納めた掛金は全額非課税になる」からです。つまり、先ほどの引き算では(B:各種控除)に個人型401kの掛金を全額含めることができるのです。つまり、その分だけ(C:課税所得)が少なくなり、結果的に(E:税金額)が少なくなるというわけです。
仮に、年収600万円で個人型401kを除く控除が280万円である人(自営業者)がいたとします。この人が年間60万円を個人型401kに拠出した場合、これだけトクをすることになります。
☆401k利用前
(A:600万円)?(B:280万円)=(C:320万円)
(C:350万円)×(D:10%)=(E:35万円)
☆401k利用後
(A:600万円)?(B:280+60万円)=(C:260万円)
(C:290万円)×(D:10%)=(E:29万円)
このケースでは、手数料が年間6,000円かかっても、税金がその分6万円下がりました!
税金が軽くなるので、これなら十分モトがとれることが分かります(もちろん実際には個人ごとに状況は異なります)。
401kは自分の老後のための積み立てですから、将来のために貯金をすれば節税できるというわけです。これは大変有利です。掛金額を設定する際には、目の前に見える手数料だけを考えずに、トータルでコストとして把握することが大切です。
■明示されているのは良いこと!
401kの手数料の問題を説明すると、どうしてもややこしくなってしまいます。税金のことなども併せてトータルで考えなくてはいけないからです。しかし、こういった金融商品を利用する際に手数料がすべて別枠で明示されているのは非常によいことだと思います。
どのような金融商品でも、手数料は発生しています。銀行の定期預金などでもそうですし、生命保険もそうです。こうした金融商品では内枠で手数料を含める形がほとんどでした。私たちは手数料を気にせず、商品を購入してきました。
しかし、内枠で手数料が含まれているということは金融機関が不当に利益を得ていたり、金融機関全体で赤字商品と黒字商品を混在させていたとしても、私たちは分からないわけです。401kでは、「本当に、自分の財産がいくらあるかはっきりしている」明朗な制度を作るために手数料をすべてオープンにしている、というわけです。
ですから、個人型401kで手数料が完全に明示されているのは、とてもよいことだと思います。自己責任というリスクを負うとはいえ、運用等の結果(利益も損失も)がすべて自身のものとして明確に還元されるからです。
401kは、そういったお金に対する関わり方を見直すきっかけでもあります。加入にあたっては、手数料問題をじっくり考えて、自身のマネープランをよくチェックしてみてください。
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