今の時代、必ずしも住宅購入をする必要はないと思いますが、マイホームについて夢を持つ人も多いことでしょう。住宅を買うつもりがあるなら、いつ頃、どれくらいの物件を、どんな資金調達によって購入するか考えておくことが必要になります。
個人的には、給料は増えない、インフレはしない、地価は上がらない時代にローンで購入する不動産はあまりよい「金融商品」ではありません。仮に低金利だったとしても、です。
とはいえ、ほとんどの家庭では住宅ローンの力を借りて住宅を購入することになると思います。しかし、住宅ローンの返済は通常数十年かかるもの。返済終了時に何歳になっているでしょうか? 先ほどと同じ時間の問題があります。
たとえば、25年ローンを組んだとして、35歳で始めれば60歳で終了します。しかし38歳で購入した場合、終了は63歳です。60歳で定年退職した場合、退職金を取り崩すなどしてローン返済に充てなければなりません。45歳で始めたらローン完済は70歳になります!
ローンを抱える、ということは返済の責任を負い続けるということです。当たり前ですが、今の時代にこれはなかなかしんどいことです。60歳時点で退職金を取り崩してローンを完済する人は、その分「老後資金が少なくなる」ことになります。また、ローンを返済している限り、「働き続けなければならない」こともかなり大変です。健康上の問題もありますし、会社が潰れるリスクも否定できません。
対抗策としてあげられるのは、(1)頭金を極力多くするか、リーズナブルな物件を購入することで「借り入れを極力少なく」する、(2)同じ借りるなら「早めに借りて、早めに返す」、ということです。当たり前ですが、100万円の違いが利息を含めると簡単に2倍以上の違いになってあらわれてきます。
また、住宅購入について「マイホームは特別だから」ローンの損得や地価の値下がりは関係ない、という人がいます。家族のよりどころであるとか、生き甲斐であるとか、住宅の意味は確かに単純な金融商品ではないところもあります。
しかし、しょせんは「マイホームも金融資産のひとつ」であることに意識する必要があります。お金がなければ売らなければなりませんし、相続すれば地価が評価されます。今売り払ったとしてもローンの残高のほうが多いとしたら現状をきちんと認識することです。
最後に。当たり前のことですが、返済をきちっと続けていくことは非常に大切です。計画では毎年給料が3%アップしていく予定で返済額を見込んでいたり、ボーナスに大きく依存している返済計画などが、能力主義賃金への変更や業績低迷による賃金・ボーナスのカットで、とたんに破綻するケースも珍しくありません。
返済を続けていくだけでも、大変な時代だということです。ぎりぎりの返済計画で住宅ローンを組むことは大きなリスクといえます。「マイホームも完済するまではマイホームじゃない」という理解も大切です(しかもあなた自身が住むことで物件価値は確実に下がっていくのです)。
CHECK POINT |
・住宅購入の必要性についてしっかり考えてみる ・いつ頃、どれくらいの物件を購入するか考えてみる ・資金計画、返済計画をじっくり練ってみる ・できるだけ少なく借り、できるだけ早く返す ・マイホームも金融資産の一つだと認識する |