ところが、60歳代前半への備えについては、もし働くことができれば、途端に問題が解決します。長く稼げれば、それで補うことができるからです。
45歳になったら、残り何年間働けるのか、また働きたいのか、自分の将来を考えてみてください。35歳で考えるのは早すぎるかもしれませんが、45歳では具体的に検討しておくべきテーマです。これによって、老後資金準備の戦略が大きく変わってきます。
一般的な企業では現在、60歳で定年退職になります。今後、65歳まで定年が延長されたり、継続雇用される要請は高まっていますが、現在の景気状況では必ずしも実現されるとはいえません。また、継続雇用を希望すると55歳以降の給与が引き下げられるため、トータルで受け取る給与総額は変わらない、ということもあります。
自分の会社の定年延長の動向や継続雇用のしくみをよく確認し、また今後の動向にも目を配っておく必要があります。その中で、自分は何歳くらいまで働くつもりかを考えておくのです。
しかし、●歳まで働きたい、というのが●歳まで働ける、という保証ではないということに注意しながら自分の「定年」を考える必要があります。すべての職種で雇用継続をするわけではありませんし、希望しても働けない場合もあります。理想は、会社から「引き続き働いてほしい」と請われるほどのビジネススキルを身につけておくことです。
長年勤めていた会社を辞めて、別の仕事をみつけることも考えられます。やりたいことがあって、紹介していただく縁があれば、心機一転、フレッシュな感覚で仕事ができることでしょう。しかし、定年したタイミングでよい仕事がみつかることはむしろレアケースだと考えておいたほうがいいでしょう。ここでも、自分のビジネススキルやネットワークがあれば、再就職は有利に進めることができます。
もちろん、無理に定年を伸ばす必要はありません。他にやりたいことがあるとか、健康上の理由でリタイヤを希望するケースもあるでしょう。その場合は、自分の定年を定めて、それ以降の老後資金準備を考えていくことになります。
CHECK POINT |
・60歳代前半の備えは、働くことができれば補える ・自分の会社の定年延長や継続雇用のしくみを確認しておく ・自分が何歳まで働きたいか、働けそうか考えてみる |
(45歳編は後半に続きます)
後半では
・退職金や企業年金に期待しすぎるのは危険!
・40歳~50歳代の支出のピークに耐えながらどう貯める?
・いったい、どれくらい老後資金準備は必要?
・これで、貯める! 老後資金準備の具体的なマネープラン
といったテーマをとりあげます。