中毒その4●収入がここ数年変わらなくても平気な人
収入の話をすると嫌がる人は多いものです。私も時々こうしたアドバイスをして怒られます。なぜなら、仕事はお金だけで割りきれるものではないからです。それはその通りです。しかし、収入に無頓着な人は「マネー中毒」であると思います。同名書籍においてもマネー中毒の類型として「過小所得」を指摘しています。私は仕事はおおむね3つの要素の組み合わせで成り立っていると思います。すなわち「稼ぎ」「やり甲斐」「人間関係」の3つです。2つが満足できる水準にあると、なかなかそこを抜けだそうという気にはなりません。たとえば、「稼ぎ」が高くて「人間関係」も良好であれば人は転職しようとは思いません。「稼ぎ」が高くて「やり甲斐」のない仕事でもとどまることでしょう。しかし、どちらも「稼ぎ」は満足できるわけですから、それほど大きな問題ではありません。
このとき、「やり甲斐」はそこそこあって「人間関係」も良好であると、転職に踏み切る必然性がなかなか出てきません。仕事は楽しく、同僚と仲もよいのではストレスはありませんし、会社を辞める踏ん切りがつかないのです。年収があまり高くない、あるいはここしばらく全然増えていないことはわかっていても、なかなか勇気が出ないものです(私も経験がありますので、よくわかります)。しかし、冷静に考えてみてください。これは収入に無頓着な状態です。楽しいだけで本当にいいのでしょうか。
この場合のデトックスは「年収を上げる」ことです。方法としては2種類考えられます。つまり「今の会社で年収を上げる」ことと「他の会社に移って年収を上げる」ことです。仕事も楽しく、やり甲斐を感じているのであればまず、今の会社でもっと張り切ってみるといいでしょう。近年の人事評価ではしっかり成績を残した者に高い年収を配分する傾向がありますから、年収を増やせるかもしれません。もしかすると、今の会社で昇進ができて、年収があがるかもしれません。
もちろん、転職して年収をアップするのもひとつの方法です。同じ会社で年収を上げてもらうのは現実問題として難しいでしょう。アメリカのケーススタディでは「まずはボスに年俸交渉をしよう」とアドバイスされますが、日本ではなかなかそうもいきません。煮詰まったとき、年収を上げるチャンスはやはり転職なのです。今まで無関心で過ごしてしまった鬱憤をぜひ晴らしてください。できるだけ大きく年収が上がるといいですね。
(同じ社内で年収を上げる方法があれば、3年以上勤めてくれる若い社員はもっと増えると思うのですが……)
また、収入が変わらなくても「しょうがないや」と気にしない人もマネー中毒の一種です。最初から諦める必要はありません。無料で登録できる転職情報サイトなどで一度相談をしてみるといいでしょう。「実は……!」というようなヒントが見つかるかもしれませんよ。
俗に「自分の年齢×1万円」の月収が欲しいなどといいますが、確かに年を重ねるごとに必要なお金は増えてくるものです。結婚したり子どもができればますます必要なお金は増えていきます。シングルであっても今までよりおいしいもの、広い部屋、高価なモノが欲しくなるものです。ですから、年収を上げることに無自覚にならないでください。
→仕事の勉強をしないとマネー中毒?