中毒その14●追加拠出をしないで増やすことばかり考えている人
投資に関するマネー中毒として注意をしてほしいのは「追加拠出」を忘れて「今あるお金を増やす」ことだけに必死になっている人です。「元手100万円をがんばって200万円に……」とか考えてばかりの人はマネー中毒といえます。自分にできる最高に効率の高い運用方法を忘れているからです。先ほどの例でいえば、100万円を200万円に増やすのはそう簡単ではありません。率でいえば2倍、つまり100%増やさなければならないからです。たとえば2005年度の日本株の上昇率は40%を超えましたが、それが2回あってもまだ2倍にはなりません(売買手数料や税金を考えるとさらに遠ざかります)。もちろん一時的にはうまくいかない局面もあるでしょうから、もっと大変です。ゴールを遠くすれば無理なく実現可能になりますが、(たとえば10年後にすれば年率7.2%でよい)、あまりにも遠いゴールでは運用の意欲も薄れますし、本来の目標額に到達しない可能性もあります。
もしあなたの元手が1億円あって100万円増やすのであれば話はまた違います。たった1%の利回りがあれば実現できるからです。いわゆるカリスマトレーダーはすでに資産がありますので、実はそれほどリスクを取らなくても結構儲かったりします。あなたのコツコツやる運用とは別次元の運用をしているというわけです。
しかしながら、先ほどの「100万円を200万円にする計画」について毎月1万円の積立を加えるとどうなるでしょう。ボーナスからは年2回4万円を積み立てて年20万円加えていくとします。
単純計算でも5年で200万円に達することがわかります。先ほどの年利7.2%で10年後より早い計算です。仮に同じ年利7.2%を稼いで、かつ積立もすればどうでしょう。5年後には261万円、10年後にはなんと490万円に到達するのです。ずいぶん夢がふくらむ試算だと思いませんか。
「1万円を1カ月で2万円に増やす方法」として一番簡単で確実なのは、株でも為替でも先物でもありません。あなたが自分の稼ぎから1万円追加して積み立てることなのです。会社員の場合、自分自身がお金を稼いでおり、そこから元本を追加できることは、実はどんな運用方法より強力なテクニックです。
私たちは貯金をするときには、リターン(利息)を当てにせず、追加で積立をすることを前提として計算をします。運用ではそうしないのはなぜでしょうか? おそらく私たちの頭には無意識に「運用は稼ぐもの」というイメージがあるのでしょう。ぜひデトックスをし「運用でも積立はアリだ」というように考えを変えてみてください。
「運用はそこにあるお金を増やすもの」という固定観念から離れることができれば、我々の運用の選択肢は格段に増えます。無理してリスクを取らなくても資産を増やすことができるからです。頭をやわらかくしてみることもデトックスのひとつというわけなのです。
→運用がうまいと思う人は中毒?