簡易生命表を眺めてみると……
厚生労働省が毎年8月に公表する統計に「簡易生命表」があります。昨年の数字を公表しますので、今年の8月に公表されたのは「平成19年簡易生命表」と呼ばれます。「平均寿命がさらに伸びて、○歳になった」というニュースは、この統計がベースになっています。ちなみに、平成19年簡易生命表によると、男の平均寿命は79.19年、女の平均寿命は85.99年となっています。
この統計に「寿命中位数等生命表上の生存状況」というデータが含まれています。その中に「ある年齢まで生存する者の割合」という表があります。これは簡単にいえば、●歳になった頃、何割くらいの人が元気に生きているか、という確率を示したものです。
たとえば65歳時点での割合は男性で86.4%、女性で93.3%です。要するに65歳の時点で、男性の86%は存命であり、女性でいえば93%が存命である、ということです。「え、そんなに高いの?」と思うのではないでしょうか。
この数字、もう少し年齢が上がってもそれほど急激には下がってきません。75歳時点では男性で70.8%、女性で85.8%だそうです。65歳から年金生活に入るとしてもほとんどの人が10年以上のセカンドライフがある、ということが分かります。
出生した者のうち、ちょうど半数が生存すると期待される年数を寿命中位数といいます。平成19年簡易生命表ではこの数値が、男性で82.11年、女性で88.77年となっているそうです。要するに、男性の50%は82歳以上長生きするし、女性の50%以上は88歳以上長生きするということです。17年ないし23年くらいの老後は当たり前というわけです。
さすがに90歳となると、男性が21.0%、女性が44.5%と下がりますが、多くの女性は90歳も「よくある」ことだということが分かります。
にわかには信じられないかもしれませんが、これが長寿高齢化社会の現実的な状況なのです。
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