損したくないなら中古を買う
人口減少と景気低迷によって、おそらく、これから大量の中古住宅が市場に供給されるでしょう。だから、居住物件はまだ下がる可能性があります。これに対して、収益物件は利回りとのからみがあるので、ある程度底が見えてくるでしょう。新築には新築の良さがありますが、資産価値のロスを避けたいなら、やはり中古に分があります。中古を安く買って、自分好みにリフォームすることで、新築を買うより2割も3割も安くあがる。場所が良ければトップクラスの価格を維持できます。
おそらく、壊して立て替える、という羽振りのいい業者は少数派になりますから、今ある不動産をいかに有効に活用するかに重点が映ってくるでしょうし、住宅ローンを出す金融機関も、そういった時代に合わせて評価の見方を変えてくる可能性もあります。
もし、どうしてもほしい新築物件があれば、完成してから2年くらい待ってみてください。そのころからぽろぽろ売りに出されるようになってきます。もちろん、デベロッパーの利益がはげ落ちた状態で。
新築マンションは、一度住んだらほぼ1割値下がりします。つまり、3000万円のマンションなら一瞬で300万円の元本割れを起こすわけです。金融商品が元本割れを起こすと大騒ぎしても、手持ちの不動産が元本割れしても平気なのは、いったいどういうことでしょうか。
この仕組みを知っていても知らなくても、郊外に値段の安い新築マンションを買う人は、たいていお金のインテリジェンスがありません。だからそういう人を客にするのは、不動産業者してはとても儲かるわけです。前著「お金の流れを呼び寄せる 頭のいいお金の使い方」(日本実業出版社)で述べたように、「商売は貧乏人相手の方が儲かる」のです。
キレイな方がいい、資産価値なんて関係ない、と言って家を買っていいのは、お金持ちだけです。しかし、皮肉なことに、お金持ちほど資産価値の高いエリアの物件を現金で買ってしまうのです。
そして、貧乏人ほど貧乏な街の資産価値が下がる物件を、新築という割高な価格で、しかもローンを組んで買ってしまいます。ここにも、お金持ちはますますお金持ちに、貧乏人はますます貧乏人になる、という現実が起こるのです。
経済的な面で優位に立ちたいなら、貧乏な思考回路を断ち切って、お金持ちと同じ考え方に、切り替えなければなりません。それに異を唱えたい人は、もう個人の自由ということになります。
自宅を買って沈没しないために(前編)