文章:吉田 摩弥(All About「ロンドンで暮らす」旧ガイド)
「イギリス人ってみんな『紳士』なの?」「ホントにいつもフィッシュアンドチップスを食べて紅茶を飲んでいるの?」ナドナド、巷でまことしやかに流れるイギリス人についてのウワサを徹底検証!
【Index】
- イギリス人と天気の話
- 「英国紳士」はどこにいる?!
- イギリスの「国民食」に異変が!
- ホントに紅茶ばっかり飲んでるの? ロンドンらしい、もうひとつの恋愛のカタチ
イギリス人と天気の話
「イギリス人はよく天気の話をする」……これはよく言われることですね。確かにイギリスでは、会話のきっかけとして、よく天気の話題が出ます。知り合いはもちろん、バス停で隣に立った人なんかとも「今日はいいお天気ですね」「雨ばかりで憂鬱ですね」なんて一言から会話がスタートします。ただし、ここで注意しなくてはならないのは「天気の話しは、単にキッカケであって、意味のあるものではない」ということ。「寒いですね~」と話しかけられたら、いくらあなたがそう思ってなくても「そうですね~」と返すのがお約束です。もし「いや、昨日よりは暖かいですよ」なんて反論してしまったら、相手は驚いてしまうこと間違いなしです。
何となく天気の話しをしてしまうあたり、日本人とよく似ていると思いませんか?
「英国紳士」はどこにいる?!
本当の「英国紳士」については、こちらの本をどうぞ。本人が貴族である著者が、紳士のたしなみについて書いた一冊。画像をクリックすると詳細がみられます |
でもちょっと待って! そんなエレガントな紳士には、そう頻繁には遭遇できないのが現実……。街で見かけるのは、お酒をがぶ飲みして道端でつぶれていく若者たち。エレガントな高級レストランなのに、大声を出して騒ぐグループ。所構わずゴミを投げ捨て、フットボールの試合では大暴れ……あらら? 「英国紳士」は一体どこに??
私たち日本人の描く「英国紳士」のイメージは、18世紀ごろまでの古きよきアッパー・クラス(上流階級)のライフスタイルから来ているもの。でも、そんなアッパー・クラスの人は、ほんの一握り。実際に街なかで出会うのは、ワーキング・クラス(労働者階級)の人たちが圧倒的多数なのです。階級の境界線は曖昧になってきたとはいえ、いまだに階級意識が強く残るのがイギリス社会。これは、実際に生活してみなければ、なかなか実感できないことでしょう。
それじゃぁワーキング・クラスには紳士はいないの? いいえ、そんなことはありませんよ。
電車やバスの中でお年寄りや女性に席を譲る、駅の階段などで大きな荷物を持っている人がいたら手を貸す、ドアを開けたら後ろの人のために押さえて待っている、というのは日常的に見かけることですが、こういうことが自然にできるというのは紳士的な素質だと思います。それから、ブラック・キャブ(タクシー)の運転手さんが、女性の乗客が車を降りて自宅のドアを開けるまでシッカリ見届けてくれるのも、やはり紳士的な香りがします。
イメージどおりの「英国紳士」にお目にかかる機会はなかなかないけれど、やっぱりイギリスは紳士の国だな、と思うのでした。
さて、イギリスの「国民食」といえばフィッシュ&チップスですが……最近これに異変が起きているのです! そのお話は次のページに!