イギリス/イギリスのグルメ・レストラン

『ナルニア国物語』の欲望という名のお菓子(2ページ目)

『ナルニア国物語』に登場したお菓子、ターキッシュ・ディライトの「禁断の香り」をお届けします。でも、中毒にならないように、気をつけましょう。

執筆者:平良 淳


欲望という名のお菓子

Narnia
『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』

THE CHRONICLES OF NARNIA, NARNIA, and all book titles,
characters and locales original thereto are trademarks
of C.S.Lewis Pte Ltd. and are used with permission.
(C)Disney/Walden.

2月25日(土)先行上映
3月4日(土)より 全国超拡大公開
ターキッシュ・ディライトは、名前から想像がつくように、トルコのお菓子で、トルコではロクムと呼ばれています。伝説によると、500 年以上も前に、トルコのスルタンが大勢の側室たちを喜ばせるために、菓子職人たちに命じ、考案させたレシピの 1 つと言われています。

このトルコのお菓子は、19 世紀までには、ヨーロッパにも伝わっています。イスタンブールを訪れたイギリス人がこのお菓子に魅了され、お土産として持ち帰り、「ターキッシュ・ディライト=トルコの悦び」として紹介したのが、こう呼ばれるようになった始まりと言われています。

『ナルニア国物語』では、アダムの息子、エドが誘惑に負けてしまう、言わば「禁断のりんご」として登場しますが、一説によると、ターキッシュ・ディライトの元のレシピには、大麻が使用されていたと言われ、隠語では「ターキッシュ・ディライト」は大麻の入った飴を示すと言われています。それが本当だとすると、これは確かに手をつけてはいけない禁断のお菓子ですよね。

また、イギリス人がトルコに抱いていたイメージにも、エキゾチックな雰囲気と一緒に、危険な禁断の香りがただよいます。

当時のイギリスは、とどまることを知らない欲望を満たすために、食いつぶすようにオスマントルコに介入しており、トルコ帝国の崩壊と崩壊後の混迷にも関わっていました。また、話は少しそれますが、第一次世界大戦では、オリエント趣味のマタハリがヨーロッパの上流階級で男達の欲望を利用し、妖艶な女スパイとして活躍しています。

このどこか退廃的で危険な欲望の世界のイメージを膨らませながら、ターキッシュ・ディライトを口に入れてみます。そうすると、私の勝手な想像のせいかもしれませんが、ショッキングな甘さと忘れられない香りの後に、エドが足を踏み入れてしまった魔女の世界の、官能的な音楽と呪文が聞こえてくるような気がしてくるのです。

【参考リンク】
人為的な国境線が抱える宗教・民族問題 イラクの国境はなぜ直線?
W杯をみてて思った疑問その2 トルコはアジアかヨーロッパか
イギリスの伝統を感じながら 優雅にアフタヌーンティーを堪能
ガイドお勧めの紅茶専門店 種類が豊富なイギリスの紅茶
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