イギリス/イギリス基本情報

イギリスに関するよくある質問 (その 2) クイーンズイングリッシュを話す?(2ページ目)

「イギリスではクイーンズイングリッシュを話すんですよね?」とよく聞かれるのですが、これも返事に困る質問です。今回は、クイーンズ・イングリッシュの「今」に迫ってみたいと思います。

執筆者:平良 淳


ロンドンセレブの証、河口域英語 (Estuary English)

Diana Princess of Wales
エスチュアリを話されたダイアナ元皇太子妃の王室での日々が綴られている『Diana Princess of Wales (Oxford Bookworms Factfiles)』
前ページでは、RP を聞いてみました。今度は、ここで、「Arthur the Rat」の「England」の下の「RP speaker 2」のかたの発音を聞いてみましょう。

どうです?「RP speaker 1」のかたと比べて、スピードがぐっと遅くなったと思いませんか?「RP speaker 1」のかたの発音を聞いて、「まったく聞き取れない」とがっかりされたかたも、「RP speaker 2」のかたの発音なら、テキストを目で追うことはできるのではないでしょうか。嬉しいことに、ロンドンではこのスピードのひとたちが増えてきているのです。将来の標準語になるという人たちもいます。

「RP speaker 2」のタイプの英語は、「河口域英語 (Estuary English : EE)」と呼ばれ、最近多くの層で話されるようになって来ています。EE は、RP とロンドンのコックニーの中間と言われたりもします。その理由は、「T」の音を落とすなどの、コックニーの特徴が EE にもあるためです。確かに、speaker 2 のかたは「Arthur the Rat」の「ラット」を「ラッ」みたいに発音していますね。また EE では、語中の「L」を母音のように発音するとも言われています。たとえば、「milk」は「ミルク」ではなく、「ミウク」に近い音で発音されます。が、「milk」の「L」は、もともと弱い音なので、意識しない限り、とても微妙な違いです。

高学歴を連想させる RP に対し、EE のイメージは、学識とかはあまり関係なく、ロンドンセレブ、お金持ちのイメージそのものと言えるでしょう。RP は生真面目で正確、EE はおっとりとして少しいいかげん。EE の話し方のデカダンな雰囲気が今、ロンドンっ子たちの心を鷲づかみにしているのです。
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