オーストラリアは2月27日から、世界へ向けた観光促進の一環として1億8000万豪ドル(約155億円)を投じて、一大観光客誘致キャンペーンを展開中。…しかし、その観光用CMがイギリスでTV放映禁止に!
異例の放映禁止処分を食らったオーストラリアの新観光キャンペーンは、国内はもとより、イギリスやアメリカなどで賛否両論、世論が二分され、大論争にまで発展しつつあるほど。これから日本にも上陸予定という、話題の『2006年オーストラリア観光キャンペーン』先取り情報をお届けします。
キャンペーンのキーワードは“Bloody Hell”
bloody hell 観光キャンペーン |
オーストラリアの新観光キャンペーンのキャンチフレーズは「So where the bloody hell are you?」。訳すと「んで、あんたはどこにいるの?」という感じでしょうか。今回論争を巻き起こしている問題部分は、あえて訳していない“bloody
hell”の部分。
“bloody hell/ブラッディー・ヘル”は、そのまま訳せば「血みどろの地獄」ということになりますが、一般的には不快感を表現するときに用いられる言葉とされ、アメリカでよく使われ、映画等でもお馴染みの“Shit”や“Fuckin'”等の、俗に言う“ののしり言葉”と同類語ともいえます。
そもそも“bloody”自体、“Shit”や“Fuckin'”のように、決して品のいい言葉ではなく、イギリスでは基本的に“上流階級の人は使わない”、つまり野蛮な言葉という認識の人も多く、「こんな品の悪い言葉を使ったCMを公共放送で流すわけにはいかん!」と、イギリスの放送コードに引っかかってしまったというわけなのです。
“Bloody Hell” は頻繁に使われるごく日常的な言葉
とはいえ、“bloody hell”、そして“bloody”は、ここオーストラリアでは普通に使われていますし、当のイギリスだって、実際は頻繁に聞かれるごく日常的な言葉。“bloody”は、口語として文章に入った場合、その意味は状況に応じて変化し、たいした意味を持たない=単なる強調のために使うことも多いのです。例えば、bloody
cool !(すげ~カッコイイじゃん!)といった具合。
その他にも、「なんてこったい!」という時に使う“Oh, my god !”の代わりに、“Bloody hell !”と言う人もいます。そう、オーストラリアやイギリスではかなり日常的に聞かれる言葉で、インタビューを受けていたイギリス人も、「bloody?よく使うよ。」「いつもつい口から出ちゃうかな(笑)」と答える人も多々。さらには、非公式な場でチャールズ皇太子が「~bloody××」と発言したVTRまで流し、bloodyの正当性を主張するTV番組も…。
国内やアメリカでの反発とオーストラリアらしいとする2つの意見
しかし、砕けた言葉には違いなく、親しい間柄=仲間同士で使うのはOKでも、初対面の人にいきなり使ったら、ちょっと品位を疑われることはたしか。国内でも「仲間同士ならいいが、海外のしかも文化の違う人に向けたCMにはふさわしくないない。」という声もあり、世界に先駆けてキャンペーンを展開し始めたアメリカでも「…う~ん、ちょっとねぇ。あまり上品ではないわね。」という年配女性らの声もチラホラ…。
ところが!ハワード首相やオーストラリア観光相は、「“bloody hell”も“bloody”もこの国ではよく使う言葉で、これぞありのままのオーストラリア。不快感を与えることはないと思う。」と、『bloody
hell 観光キャンペーン』にゴーサイン。賛否を問うオンライン投票「bloody hell の部分をそのままにしたほうがいいか、変えるべきか?」では、「そのままでOK」とする人が「変えるべき」を上回り、「bloody
hell は、この国らしくていいじゃない」という意見が多数を占めました。
こうした“bloody hell”や“bloody”のような俗語は、学校では教えてくれないので英語が母国語じゃない私達日本人にとっては、どういうものかイマイチ感覚が掴みにくいもの。そんな日常ではよく使われるのに学校では教えない俗語についてと、オーストラリアらしいユニークなキャンペーンの台詞、そして、問題のCMがノーカットで見られるサイトを次のページでご紹介します!