もともと白と黒と赤が好きで、私のデザインするものには白と黒に必ず赤が入ってます。ラベルのデザインにも赤が入ってるので、赤の意味は?って聞かれると『日の丸の赤です』って答えてるんです。」日本人であることによって、素材の買い付け等がスムーズに運ぶことも多いのだという。それは、お金はキッチリ払うという日本人の生真面目さをアメリカで認められてるからだとか。
デザインをしていく上でニューヨークと日本との違いは?
「日本と違ってアメリカでは、洋服のボタンや芯、アクセサリーのパーツなどといった材料をホールセールで、個人にも売ってくれます。日本だと、企業のバックアップみたいなものが必要だったりするんですけどね。そういった意味では個人のデザイナーが自由にデザインしていけるという土壌を与えてくれる、可能性を与えてくれる場所なんです。
その上、性格的には、日本って個性があったら爪弾きにあう社会じゃないですか。白黒はっきり主張をする人は一匹狼として嫌われるし、私も元々そういう性格なんですが(笑)。ニューヨークでは逆に意思を持っていないと何もやっていけない。主張することの方が、大切なんです。カラーでいえば日本はグレーで周りに溶けこむべきって雰囲気。私の好きなカラーである赤は日本の市場にはないんです。ニューヨークに住むことによって私のスタイルが生きてきた。」
日本ではトレンドが不可欠。久々に日本に帰ると、最先端のファッションだっていっても同じような格好をした人が多いから怖くなる。制服着てるみたいに、みんな同じ格好してるんだもの・・・。矢野さんによると、トレンドを追ってるようじゃー、良いデザイナーにはなれないそうだ。
デザイナーを目指す日本の若者にアドバイスは?
「どうすればデザイナーになれますか?なんて言ってる子は、その時点でダメ!私は15歳の頃に、デザイナーになろうって思った瞬間に、通信教育でスタイル画を学んでた。デザイナーって『縫える、デザインが描ける』っていうのが基本かなぁーって漠然と考える間もなく、即、行動に移したんです。デザイナーになるのに近道はない。ニューヨークでデザイナーになりたいって勉強してる人は無駄な一年を過ごしてないですね。ものすごいパワーがあるし、可能性もある。
ニューヨークに来たけど、他にやることもないし、デザイナーにでもなろうかなぁ~なんて人はちょっと・・・。私のオフィスにはインターンとして学んでる人が多くいますが、そういう人って3日も続かないんですよ。その代わり、やる気のある人は長く続く、3年以上続いた人もいます。日本に帰ってデザイン事務所を立ちあげようとしてる元アシスタントもいます。」