オーチョリオスのホテルへ行く前に、キングストンの丘の上に住んでる伯母の家を訪ねた。伯母の家は2階建てで、2階だけでも4ベッドルームとリビング2つに、ダイニングもある。一人暮らしなのに・・・。なので1階は貸している。ジャマイカは貧富の差が激しく、住まいも「丘の上の金持ちエリア」と「丘の下の貧しいエリア」とに分かれている。
さて、いよいよ挙式。ウエディングドレスを着てホテル内を歩きまわる。日本人が少ない場所だったので東洋人が珍しいのか皆から注目される。そして「おめでとう!」と地元の兄さんや観光客のアメリカンからお祝いの言葉をいただく。ラジカセがオンになると、♪パ~ンパァ~カパァ~ン、パ~ンパァ~カパァ~ン♪お約束の結婚行進曲が流れ出す。
海を臨む展望台に夫と親族が待つ場所へ私は、ゆっくりと歩く。ズボズボとハイヒールが砂に食い込む。転びそうになりながらも、夫の元へたどり着く。牧師さんが神に祈りを捧げる言葉を唱えはじめる。いよいよ誓いの言葉だ。「私の後に復唱してください。」と、まず夫に告げた。夫は、牧師さんの後から同じように誓いの言葉を唱える。「え?何て言ってるの。覚えられないよ~。」と長~い誓いの言葉に不安がよぎる。
いよいよ私の番。牧師さんの英語はジャマイカンアクセントなせいもあって、何を言ってんだかさっぱりわからない。半分以上はモゴモゴと口ごもってる私。ゆっくりと牧師さんがリピートしてくれるけど、それでもわかんない。ほとんど何を言ってるのかわかんないまま、適当に誓いを終らせた。こんなんでいいんだろうか?神様、適当な私をお許しください。
ジャマイカの人たちは敬虔なキリスト教徒が多い。夫の伯母もその一人。ちょっぴり頑固にさえ見える伯母もジャマイカ独特の派手な柄のワンピースを身につけて参列してくれた。「食事の前さえお祈りを捧げる信心深い伯母に私の無茶苦茶な誓いの言葉が聞こえてませんように・・・。」と別の意味で神に祈る私。
夫婦となった後にはケーキカットして、それを口移して食べ、シャンパンを開ける。そして最初に揃えた用紙にサインをしておしまい。んんーむっ、あっけないなぁ~。というのが私の感想だった。ただ伯母が、私の誓いの言葉をどういう気持ちで聞いてたのかは謎である。それでも「今日から、あなたも私たちの家族よ。」とハグ(抱擁)してくれた。その時に私は、夫の誓いのキスよりも何よりも、結婚を実感したのだった。