現代アートの祭典、横浜トリエンナーレ2005(3ページ目)

トイレットペーパーでできた考える人

トイレットペーパーで作られた『考える人』（ミゲル・カルデロン）

一番印象に残っているのが、『考える人』（ミゲル・カルデロン）。あのロダンの名作を、なんとトイレットペーパーで作ってしまったのです。しかも使われているペーパーの商標が「RODIN」ということで、ウケてしまいました。その『考える人』の横で流れているベートーベンの映像も、この作者の作品。

掘り出したような部屋

部屋が土にまみれている『ピューリフィケーション・ルーム』（チェン・ゼン）

静寂を感じた作品は、『ピューリフィケーション・ルーム』（チェン・ゼン）。土にまみれた部屋で、日常を表現しているのに日常ではない、不思議な空気が流れる部屋なのです。しばし、見入ってしまいました。作者は2000年にパリで亡くなってしまったそうですが、今回、横浜トリエンナーレのために再制作され、展示されました。

いつも見ている袋が森に！

どこかで見たことがある紙袋を使った作品『告知－森』（照屋勇賢）

うわ～、おもしろい！と思ったのは、『告知－森』（照屋勇賢）。ファーストフードやデパートなど、見たことのある紙袋を使って、袋の中に木を作っています。上部に開いた穴から光が差し込み、まるで木漏れ日のよう。繊細な作品です。

パフォーマンスもお見逃しなく

腸の形をしたパブ。善玉菌と悪玉菌のスタッフが存在し、悪玉菌はいたずらするらしいです。アトリエ・ヴァン・リースホストの作品

もちろん、このほかにも腸の形をしたパブやずらりと並んだ人形の屋台（？）など、あっと驚く作品がいろいろあります。また、ブラスバンドやダンスなどのパフォーマンスが出現する日もあります。イベント情報で見てみたいパフォーマンスをチェックしてお出かけください。

倉庫の外でも楽しめる作品

横浜中華街の山下町公園にある中華風あずまや「會芳亭（かいほうてい）」を囲って、ホテルにした作品

メイン会場である山下ふ頭のほかにも、別会場での展示も行われています。桃谷宅を展示会場とする『ホームステイ・アートプロジェクト』（桃谷恵理子、日時限定、要電話予約）や、横浜中華街の山下町公園内に出現したホテル『ヴィラ會芳亭（かいほうてい）』（西野達郎、宿泊は満室、12:00～18:00は見学自由）、ただひとりの観客のために開催されるピアノリサイタル『for you』（向井山朋子、オークション形式でチケットを落札）など。くわしくは、公式サイトトップページのバナーをクリックしてください。


また、日本大通りには、横浜トリエンナーレの関連カフェ「graf media gm : YOKOHAMA」もあります。会場からは少し離れていますが、トリエンナーレ鑑賞後、余韻にひたるのもよいでしょう。

『百均絵画（ペンペン絵画）』と『毎日森』のふくろうのようなぬいぐるみ。後ろはカタログ。芸術品のお持ち帰りは、トリエンナーレの日常から私の日常へ、作品が跳躍するという意味もあるとか

会期中、毎日変化していき、何が起きるかわからない横浜トリエンナーレ2005。お気に入りの作品を見つけるもよし、体験してみるもよし、それぞれの楽しみ方で鑑賞してください。

＜横浜トリエンナーレ2005＞
・日時：2005年9月28日(水)～12月18日(日)　※会期中無休
※荒天時は臨時休場となる場合がありますので、事前にハローダイヤル（TEL03-5777-8600）で開催の有無をご確認ください。
・開場時間：10:00～18:00 (金曜日は21:00まで。入場は閉場の1時間前まで)
・会場：横浜市山下ふ頭3号、4号上屋　ほか
・HP：横浜トリエンナーレ2005

※この記事は2005年9月27日のプレスツアーでの取材をもとに作成したものです。通常時は、会場内は撮影禁止ですのでご注意ください。また、画像などの転載はご遠慮ください。

＜関連サイト＞
・駆け足で見る横浜トリエンナーレ2001……2001年秋に開催された横浜トリエンナーレ2001の紹介記事。
・「インセクト・ワールド」プロジェクトを追う＜１＞……横浜トリエンナーレ2001で登場した巨大バッタバルーン『飛蝗（ひこう）』の再浮上を追ったドキュメンタリーレポートの第1回。