お公家さんの遺構をめぐり歴史散策・旧閑院宮邸、旧九条家茶室・拾翠亭
■閑院宮邸
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さすが、立派な門構え |
閑院宮家は、江戸時代から始まった伏見宮、桂宮、有栖川宮家と並び四親王家の1つ。御苑の中で唯一創建以来の場所で、当時の建物や庭園の面影を残しており、京都御苑の中ではここのみです。
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アプローチは、大変広く門からも離れています |
敷地面積は、約9,500平米ありり主屋は、中庭を囲み木造平屋建の4つの棟で構成されています。敷地内には長屋門、門番所、土蔵等が遺されています。
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お天気の良い日は、ゆるりと眺めていたい程です。 |
庭園は、敷地に対し東南に位置する池があり、これは当時のままの意匠で復元されました。池の底には、石が敷き詰められており大きな石の中島があるのが特徴的です。庭をゆっくりと見られるお茶室に入る前の待合いのようなベンチがあり天気の良い日は、そこで休憩しながら池の中の魚やかめを探すのも良いかもしれませんね。
真新しい白い壁に最初違和感を感じてましたが、ベンチに座り主屋を見ていると自分自身が、タイムスリップをした印象を受けてゆったりと時が流れている様に感じました。
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庭より望むお屋敷は、当時の公家の華やかさが伺えます。 |
主屋の南側の収納展示室は、書院造で棟高は9.85mもあります。建設当時の屋敷構えを保存しています。そのため建物の修復工事を行うために2年5ヶ月もかかりました。工事の最大の特徴とし、柱や梁を残した状態で建物全体をジャッキアップされたそうです。また、基礎石の据え直し柱の腐った部分の根継などで出来るだけ建築当時の材料を使用するなどの工夫もされました。
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公家の歴史と御苑の自然がわかりやすく説明されています。 |
展示室には、京都御苑の歴史や江戸時代の公家屋敷地図、公家のあらましなどが展示されており、写真絵図などのパネルにてわかりやすく展示されています。じっくりと1つ1つ見ているとあっという間に時間が経ってしまいました。大河ドラマなど歴史に興味のある方は、興味深い場所だと思います。公家という華やかでいて、別世界の物語なので、面白く拝見できました。
休館日:月曜日
参観時間:9:00~16:30
入場料:無料
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しっとりと佇む別邸といった雰囲気です。 |
■九条邸・拾翠亭
次ぎに、拾翠亭は今から約200年程前の江戸時代に、当時五摂家(※1)の一つであった九条家の屋敷内に設けられた別邸として建てられました。緑が繁っている中にひっそりと玄関が見え、なかなか公開しているのかどうかわかりにく程です。
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鬼瓦や外回りも歴史的な遺産をじっくり見る事が出来ます。 |
主に茶会や歌会等の社交場として利用されていました。数寄屋風の書院造りの2層からなり、屋根の鬼瓦は九条家の家紋を形どったもので、2階外回りには、縁高欄という手摺りが施されています。細かく1つ1つ見どころを説明しているパンフレットを受け付けでいただけるので、中も外もじっくり見学できます。建築に興味のある方は、小説を読むような感じで面白く拝見できるかと思います。
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勾玉の形をしている池と緑が一体になっている庭は、圧巻です。 |
邸の前に広がる池は、勾玉池と呼ばれています。現在のように池の東側には、木立が繁っておらず、邸から東山が望めその東山の山なみを借景として取り入れていました。また、池の東南隅には、滝組が設けられており、当時は、鴨川から水が引かれていたそうです。九条家の権力を象徴するかのように贅沢な造りのお庭です。
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当時お庭を見ながら和歌などを歌ったのでしょうか。 |
2階座敷の床の間は、床柱は皮付丸太で、落とし掛けは湾曲した雑木を使用し床脇は、天袋を吊ってその下は、書院の中に敷居窓を設けています。畳座って庭を眺めていると、
繁った緑や池などが目の前に見えて、なぜか車の音も聞こえないほど静かに感じました。貴族の贅沢な楽しみ方を、かいま見た気がし、ホッと一息付けいた時間を過ごしました。
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侘び寂びを感じられる待合い |
九条家は、藤原鎌足を遠祖とし、摂政関白の要職に就いた人が多く当時九条家の敷地は、約10,700坪もあり最盛期には、建物は3,800坪もありました。現存する貴族の茶室としては、数少ない中の1つで貴重な文化遺産です。
※1 五摂家とは、鎌倉時代以来の摂政・関白になる資格を持つ5つの家柄で、近衛、九条、鷹司、二条、一条家の総称。
参観日:3月1日~12月27日の金曜日・土曜日/葵祭、時代祭、春・秋御所一般公開日
参観時間:9:00~15:30
入場料:100円
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今は、大木のみの鷹司邸 |
京都御苑には、江戸時代までに200もの公家屋敷が建ち並んでいました。五摂家の1つで九条家と朝廷内で政治的に対立していた鷹司邸は、九条邸より東側の堺町御門入った正面あたりにありました。現在は、碑のみが残されています。公家にまつわる歴史話は多くあります。場所と話とを重ね合わせながら御苑を廻るのも面白いものです。
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「大火や幕末の混乱を逃れ、歴史を見てきた門・蛤御門」と「御苑近辺の甘いもん」の紹介です。