ヤジヤーガマの出入り口です |
生と死が出会う鍾乳洞にて
ヤジヤ-ガマを観光スポットとは呼びにくいのですが入園料を払えば中に入れます。全長800メートルにも及ぶ鍾乳洞です。沖縄の鍾乳洞としては沖縄本島南部の玉泉洞が有名で、また、金武町の鍾乳洞では安定した温度と湿気を利用して古酒づくりを行なっていますよね。しかし、久米島のヤジヤーガマは天然のままで、殆ど手付かず状態となっています。ところどころにつけられた電球の灯りだけが頼り。規模的にかなり大きく、外とはまったく隔絶された世界が広がります。
観光化された鍾乳洞には、それぞれ特徴のある鍾乳石や石筍に名前がつけられていたりしますよね。そんなものも一切無し! ひたすら、地底世界が広がるだけです。
ヤジヤーガマは全長800メートルにも及びます |
ということは、沖縄の貝塚時代にはここに人が住んでいたと考えられます。
さて、東と西の洞窟入り口付近には人骨が見受けられます。風葬のあとだと推測できますが、科学的には確定されていません。ただ、地元の方に言わせると「確かに風葬ですよ」とのこと。
風葬とは、自然のなかで骨化させる葬法であり、決して特殊なことではありませんでした。死が身近にあった時代、死者がゆっくりと解き放されていくのを待つことで、残された人もまた死とじっくり向き合う場所でしたから、風葬地とは神聖な場所でもあったのです。
ほとんど自然のままで公開しています |
ヤジヤーガマに散乱する人骨に関しては、1700年代、沖縄本島および久米島に疫病が流行り、これに飢餓が加わって大勢の人が亡くなったため、洗骨どころか墓に入れることもできないほどの遺体が安置されたためではないかと推測されています。
さて、現代社会は、死を異質なものとして処理していきます。だから、なるべく目に触れさせない。結果、死者と生者の距離は遠のき、この世のとあの世の結びつきも絶たれてしまったような気がします。
人骨を見た時、私は怖さを感じませんでした。ヤジヤーガマで感じたものは、生と死のつながり、そして、なぜか宇宙の広がり……。それはたぶん、私なりに感じた曼荼羅の世界観だったような気がします。
■今回利用したサラダツアーの格安久米島パック
■久米島の観光スポット一覧
■ヤジヤーガマ遺跡
・住所 沖縄県久米島町字仲地1442・82
・電話 098・985・4066
・公開 年中無休
・料金 大人1名800円