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2月のおいしい時間~北海道の旬味・店案内(2ページ目)

【2/26更新】今月食べておいしい食材や料理を日記風に綴っていきます。今月はスローフードレストランなど。

執筆者:小西 由稀

村の恵みたっぷりピザ
ハートン・ツリー From:鶴居

産地を取材していると、「産地なのに産地のものを食べられない」というジレンマに陥ることが度々あります。より大きく、より高く(評価&価格)扱う消費地にものが流れていくのが市場のセオリーですが、目の前にあるのにお預け状態は、やるせないものです。

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▲「ハートン・ツリー」の服部さん。パンも自家製
なので、産地にあって、産地のものにこだわって提供している飲食店を、私は応援しています。流通のないところで、自らルートを開拓して、仲間を増やして、地物が占めるパーセンテージを上げていこう。これって、ものすごい情熱と努力がなければ続かないものだから。

道東・鶴居村にあるカフェ&レストラン「ハートン・ツリー」は、私が応援している一軒です。オープンして10年。「野菜に鶏、豚、卵など、ようやく鶴居らしい食材でいろいろな料理を提供できるのが嬉しい」。オーナーシェフの服部佐和子さんは話します。


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▲鶴居村で会った子牛
彼女の自慢料理のひとつが、鶴居を含む釧路・根室地方の牛乳を使ったミルク料理。ミルクカリーに道産小麦でつくったナン、地物の野菜を練りこんだ手打ち麺を使うクリームソースパスタが定番メニューです。いずれも、具材には地物が顔を揃えます。

鶴居の牛乳は、乳質コンテストで日本一に何度も輝いた、知る人ぞ知る良質な産地。本当は「鶴居産」と謳いたいところだけれど、鶴居の牛乳は、他産地の牛乳と一緒に釧路・根室地方で一括集荷が義務づけられているそうです。だから、鶴居産100%といえないのが、ツライところ。牛乳の法律ってムズカシイ!

でも、加工品になると話は別。そこで、村では数年前から原料乳が鶴居産100%のチーズづくりを開始。商品名はそのものズバリ。「ナチュラルチーズ鶴居」。昨年から本格製造・販売をしたのですが、いきなりその年の「第6回ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」の最高賞と優秀賞を受賞。少々塩味が強いかなぁとは思いますが、とてもバランスの良い、デイリーに使いたいセミハードタイプのチーズです。

「ハートンツリー」でも、村のチーズを使った「鶴居のスペシャルピザ」を新たにメニューに加えました。ほんのり黄色い生地は、道産小麦に地物カボチャを練りこみ、もっちりした弾力。トッピングは3種類で、ヤマベのアンチョビ(塩漬け)、エゾシカのソーセージ、鶏肉。アクセントに加える自家製ベーコンとタマネギ、すべてが鶴居村産。夏になるとトマトソースも地物になるのだそう。
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▲2~3人前はある大きさのピザ。写真はヤマベのアンチョビ

ちょうど今は、村名の由来でもあるタンチョウヅルが、給餌場に集まり優雅なダンスを見せてくれる時期でもあります。村の恵みをいっぱいのせた「鶴居のスペシャルピザ」を食べに、鶴居村に出かけてみませんか?

【DATA】ハートン・ツリー
鶴居村字雪裡496-4 | TEL 0154-64-2542
http://www.heartntree.com/

【関連サイト】
鶴居村
ガイド小西の連載「ハートン・ツリー」を取り上げた読売新聞記事
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