秘境の宿。
「秘境」とは、単に人里から隔てられた地にあるだけでなく、独自の精神性の伝承というものがみられるという点で、エスクァイアは紹介していたように思えます。そうした点での秘境性を持った地というのはそう多くはないのかもしれません。
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東北独特の習俗としてこの地に残るイタコの口寄せでも有名な「恐山」。 |
そうした点で、この地も忘れることができません。火山性ガスの噴出する、おどろおどろしい地形。石積みの墓標と水子を供養する無数の風車が宇曽利湖の畔でカラカラと廻る独特の景観といえば、霊場「
恐山」(青森県むつ市)。ここは地蔵菩薩を本尊として拝むれっきとした曹洞宗の寺院。その中には、温泉付きの「
宿坊吉祥閣」があります。立派な建物で一泊12,000円しますが、地蔵堂に納められた無数の花嫁人形を見ると、ここは死者をとむらう霊場なのだと襟が正されます。三途の川の一歩手前。日本の秘境の宿といえる一軒です。
同じ東北には、電話がないので、郵便でしか予約を受け付けない宿があります。その名は、「
苫屋」。岩手県の三陸北部、野田村にあります。茅葺きの南部曲り家で、囲炉裏で食事をいただきます。電話もないわけですから、もちろん、ホームページもありません。
隣に住むおばあちゃんの母屋を借り、海外暮らし経験もあるご夫婦が切り盛りしています。秘境といっても、宿には優しい人情とおいしい食事があります。
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外観はものすごくワイルドですが、内装は簡素で清潔な「民宿海山木」。 |
そして、3軒目は、沖縄最北部の国頭村、「やんばる」と呼ばれる森に囲まれた「
民宿海山木(みやぎ)」。ヤールーの遊ぶ客間。持ち込み原則の泡盛で囲炉裏を囲んで楽しいユンタクの時間。おやすみ前には、薪で炊いたお風呂でゆっくり・・・。仙人のようなご主人の宮城さんの採ってきたサカナが食事に並ぶ、実は、知る人ぞ知る有名宿なのです。ただし、那覇空港から約3時間半。まるでニライカナイへ届いてしまうくらい走り続けて到着する秘境の地。日本にはまだまだこういう秘境が残っているのだと実感させられます。
皆さんも、秘境に行ってみませんか!?