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大峯山「山伏修行」一日入門(2ページ目)

女人禁制の修験道の聖地「大峯山」に登り、山伏の修行を一日体験。宿泊は、レトロな洞川温泉。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

いざ、大峯山寺へ


起床は深夜2時。眠い目をこすりながら、2:30に宿を出発します。洞川は熊野川最上流の名水の地。名水「ごろごろ水」のペットボトルもザックに忍ばせましょう。女性と一緒に来たのなら、女性の方は朝までゆっくりお休みください。役行者の母君が修行の身の息子をここで案じたとされる「母公堂」を通り、女人結界門まで徒歩で約1時間。朝食後、朝の散歩がてら連れの方を迎えてあげましょう。結界門近くの遥拝所からは、山上ヶ岳山頂と西の覗きの絶壁も望めます。
女人結界門までは宿の車で約10分。持参したヘッドライトを点け、いよいよ結界をくぐり、暗い山道を歩み始めます。行者さんたちの「六根清浄」と唱える声。世の執着を絶ち、不浄なものを見ない、聞かない、嗅がない、味あわない、触れない、感じない、と念ずる修行者の掛け声です。同じように唱えつつ登りましょう。

山上ヶ岳への登山道
山上ヶ岳への山道はこんな感じの急登が続く。(世界遺産.infoさんのHPより)
いきなりの急登にあごが上がります。途中、一本松茶屋、お助け水の水場を通り、約1時間半。洞辻茶屋まで登ると奥駆道と合流します。ここからが世界遺産の道。この先、道を覆うように立っている「陀羅尼助(ダラニスケ)」茶屋は、洞川で売っている漢方胃腸薬屋の店。黒くて丸い苦味のある薬を飲んだ事のある方も多いのではないでしょうか。それぞれの茶屋は週末営業ですが、杖や鉢巻を売っており、本堂で焼印や朱印を押してもらうと記念になります。洞川で買い忘れた方はぜひ。
途中「行場道」と「新道」の分岐がありますが、迷わず行場道へ(下りは新道を通ります)。鐘掛岩の大きな鎖場を、行者にならい無心で通過し、祠の立つ「西の覗き」へ。希望者は、肩に巻いた命綱を他人に託し、目もくらむ高さの絶壁を覗く荒行を。自らの悪行を懺悔し、身を捨てる思いになることにこの荒行の意味があるといいます。

山上ヶ岳の宿坊
立派な破風の玄関を持つ宿坊が五軒、斜面に並んでいる。
結界門から登り始めて2時間半。山頂直下、「護寺院」と呼ばれ大峯山寺を護る五か寺(洞川の龍泉寺と吉野の四か寺)が運営する宿坊街に到着します。山上にこれだけ大きな宿坊があるとは驚きです。おそらく日本最高地点の宿坊でしょう。夜空もだいぶ明るくなった5:30、宿坊の一軒で弁当の朝食をいただきます。次回は、この宿坊にぜひ泊まってみたいものです。

大峯山寺
妙覚門をくぐれば、大峯山寺本堂もすぐ。
そして、いよいよ、一投足で大峯山寺に到着。本堂裏手には、命綱をつけずに荒行に及ぶ裏の行場があり、こちらも希望者は挑戦可能です。本堂は立派な寄棟造り、ご本尊は金剛蔵王権現。道中、天気がよければ山頂近くでご来光を拝めることでしょう。
お参り後は、来た道を戻ります。途中、行者さんや登山者に会った際には「ようお参り」と声を掛け合うのがルール。同じ志をもって行に励み、お参りする者同士の心のこもった挨拶です。
夜も明けぬ3時前に登り始めて6時間後、9時に登山口の女人結界門まで戻ってきます。
女性の同行者がいればここで迎えられ、宿の車に乗り、旅館に戻って温泉で一服。湯上がりに朝からビール、といきたいところですが、山伏体験はこの後、龍泉寺で行われる修了証授与式まで。精進揚げのお昼ご飯までの我慢です。
さて、皆様も、修験道の聖地での「山伏修行一日入門」はいかがでしょう。



山伏修行一日入門
申込みは、「大峯山洞川温泉旅館組合」まで。
電話 0747-64-0820
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