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京都・片泊まりの宿「京都吉水」に泊まる(2ページ目)

京都円山の片泊まり宿「吉水」に泊まりました。自然の中にある質素な宿ですが、京都らしさを体感できます。過剰サービスを求めない方に。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

吉水は気楽な宿ですが、ハブラシ、タオル、ひげそり、などアメニティ類は持参することになっています。浴衣は必要な方にのみ300円で貸し出し。これは少しでも資源を無駄にせず環境に優しく、という理念に基づいています。水道水には塩素除去装置を付けて”純生”水を飲めるようにしていたり、石鹸やシャンプーは天然のものを使用していたり、ここかしこにさりげない心遣いが隠されています。

お部屋には、テレビや冷蔵庫はありません。
不自由を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、徒歩で15分の祇園で買ってきた缶ビールを片手に静かに本を読んだり、おしゃべりしたりという時間があれば、そんなに気にならないものです。

それより、夕食は出ませんので、夜は外出しなくてはなりません。
私は、祇園までてくてく公園の中を歩き、三軒ハシゴしてきました。

一軒目は、京都人には有名なおばんざいや「山口大亭東店」(八坂神社を背に四条通り一本目の狭~い路地を右に入ってすぐ)。カウンターにずらりと並んだおばんざい、食べて飲んで、本当に2千円。いや、ここはおすすめです。

二軒目は、最近流行の町家改造型イタリアン「スコルピオーネ祇園店」。犬矢来、通り庭、坪庭と町家の風情を残し、ライティングで内部をとてもシックにみせている大人向けの店でした。座敷でワインにパスタというのも不思議な感覚。

最後は、路地裏のバーのシングルモルトで仕上げ(飲み過ぎっ!)
「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)
禅寺では酒で身を滅ぼすことをこう言って戒めました。お寺の多い京都で、飲みすぎには気をつけましょう。

ほろ酔いで円山公園を15分の帰り路。夜道になりますが、要所に街灯が点いています。ただ、女性で夜道に不安という方は、タクシーで吉水すぐ下の「吉水弁天堂」(料亭「左阿弥」前)まで上がれます。

実は、この日、吉水の小さなお庭に仮設の能舞台を造り「薪能」(18時30分~20時30分頃)を楽しんでからの食事でした。「吉水」では、年に何回か、薪能やコンサートなどを開催しています。観客の多くは京都の方々(日帰り)ですが、こんな日に宿泊できればなお記憶に残ること請け合いです。(ただし男性は広間での雑魚寝の可能性もあり)
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