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海外にあるホテルの種類

「ホテル」と一口に言ってもそのタイプは本当に多種多様。都市部にある超大型ホテルからリゾートにある隠れ家ホテルまで……。この記事で旅行の目的にあったホテル選びになるべくホテルの種類を解説します。

執筆者:奈良澤 充

ホテル(宿泊施設)と一口に言っても、その営業形態や平均滞在期間、立地、利用目的、施設概要などの基準で種類を分けることができます。そして、短期滞在型で都市部に立地する、いわゆる「シティホテル」の中にも、200~500室の客室に複数の宴会場やレストランを備える“複合型ホテル”もあれば、宿泊に特化し(レストランを持たない)20~50室の小規模な経営で運営している“ブティックホテル”や“デザイナーズホテル”などの“テーマ型ホテル”があり、その組み合わせは多種多様。

この記事では、海外旅行では欠かせないホテル選びのヒントになる「ホテルの種類」をご紹介していきます。旅行の目的、時期、人数、滞在日数などに応じて宿泊施設を選択すれば、時間や経費を節約でき、“最も効果的な滞在”をプロデュースできますよ。
ザ・オポジット ハウス
2008年8月北京にオープンした、隈研吾がデザインを手掛けたと話題のホテル“ザ・オポジット ハウス”。客室数99室で、デザイナーズホテルに分類される

シティホテル

文字通り、都市部にあるホテルを指します。どの国でも地方に比べ、都市部は宿泊費用が高めに設定されていることが多いので、目的にあったホテルを選びましょう。

■複合型ホテル(例:ヒルトン、マリオット、シェラトン、ウエスティンなど米系チェーン)
200~500室の客室、大小の宴会場・会議室、メインダイニング(通常フレンチ)と複数のダイニング、バー、コーヒーショップ、スパを備える大型ホテル。ビジネス街や観光スポット近くの立地が多く、ビジネスや観光に便利です。また同一チェーンのホテルであれば、基本的に世界中どこでも、同じ部屋の仕様やサービスを受けられるという安心感があります。これは、ウェスティンが好きな人であれば、NYでも東京でも上海でも……世界中のウェスティンで同じレベルの心地よさを味わえるという訳なのです。

Grand Hotel et de Milan(グランドホテル・エ・デ・ミラン)
Grand Hotel et de Milan(グランドホテル・エ・デ・ミラン)
■ラグジュアリー/グランドホテル(例:フォーシーズンズ、 マンダリン、リッツなど)
50~200室で“複合型ホテル”を一回り小さくした施設概要。逆に、ルームチャージは“複合型ホテル”より一回り高い!?かと言えば、決してそれは一概には言えません。バトラーサービス、コンシェルジュ、24時間ルームサービスなど、最高級のサービスを提供するホテルです。

さらにグランドホテルとは、伝統と格式を併せ持つクラシックホテルで、各地で開業当初から各国の閣僚やセレブに親しまれてきているという伝統があります。このカテゴリーのホテルを利用する際の注意点は“ドレスコード”。ディナー時には、紳士淑女がタキシードやドレスでダイニングを賑わせています。ジャケットを一着鞄に入れておくことをおすすめします。

Portrait Suits (ポートレートスイーツ)ローマ
写真上:フェラガモが手掛けるPortrait Suits (ポートレートスイーツ)ローマ/写真下:リネン、壁材全て自然素材を利用したBLEIBTREU HOTEL(ブライプトロイ・ホテル)ベルリン
■テーマ型ホテル(例:ブティックホテル、デザイナーズホテル、スモールラグジャリーホテル)
デザイン、客室数(50室未満と小規模のところが多い)、コンセプトにエコを取り入れる……など、従来の複合型ホテルのビジネスモデルから脱皮して進化したホテル。ターゲットの顧客層を細かく分け、そのライフスタイルをホテルに具現した、比較的新しいタイプのホテルカテゴリーです。チェーンホテルと正反対で、デザイン、ファシリティー、サービスが各ホテルにより全く異なります。

宿泊に特化したホテルも多いので、場所によってはダイニングを併設していないところもあります。“自分のライフスタイル”に合ったホテルを選べば、唯一無二のホテル体験が期待できるかも。

ベルギーのB&B。オーナーにより条件は大きく異なるが、素朴なヨーロッパに出会えるかも
■B&B(Bed & Breakfast)
一泊朝食のカジュアルホテル。イギリスに多く見られるタイプ。家族経営の小規模施設も多く、日本でいうと“夕食の無いペンション”のようなイメージ。宿泊料金もリーズナブルな設定が多いので、予算を抑えたい人におすすめです。

郊外型ホテル・中長期滞在型宿泊施設

郊外型ホテルは、都市部から少し離れた郊外や街道沿いに立地し、20~50室の小規模の施設が目立ちます。フィレンツェ郊外の丘の上に建つヴィラや、ロンドン郊外のマナーハウス、パリ郊外の街道沿いのオーベルジュがまさに典型的な郊外型ホテルでしょう。
パリ、サン・ルイ島のアパルトマン。ワンベッドルーム・タイプのリビングは55平米で3名利用。5泊から予約可能

■タウンハウス
ヴィクトリア、ジョージタウン朝の典型的なイギリス形式の邸宅を宿泊施設にしたもの。3泊~1週間単位の料金体系で、サービスはB&Bが多い。その国の文化や生活を体験したい、という人にはおすすめです。

Blanket Bay(ブランケット・ベイ)/クイーンズタウン
Blanket Bay(ブランケット・ベイ)/クイーンズタウン
■マナーハウス
イギリスの中世貴族の館を宿泊施設にしたもの。タウンハウスの体験をさらにグレードアップし、イギリス貴族の生活や文化を満喫できます。

タウンハウスもマナーハウスも、主にイギリスで普及している宿泊施設です。イギリス以外ではオーストラリアなど元イギリス圏のエリアでも見られます。

どのアパルトマンにも、炊事・洗濯・掃除道具はそろっており、ついたその日からパリ生活が可能
■サービスアパートメント
まるでホテルのように、生活に必要な家具や家電が備えられた宿泊施設。炊事・洗濯など日常生活できる器材は用意されているため、鞄ひとつで着いたその日から生活を開始できます。中長期の出張や留学では絶対に便利。施設の価格帯はエリアや規模によって大きく異なります。外国人ビジネスマンが駐在で使うような大きなアパートメントではルームスタッフやコンシェルジュが常勤しており、シーツを変えるなどのサービスを提供してくれることも。

「フランス映画のように、袋からはみ出たバケットを抱えてパリの街を歩きたい……」そんな暮らすような旅スタイルも、サービスアパートメントなら簡単に実現できてしまいます(パリでは“アパルトマン”と呼びます)。パリには1週間から1年の中長期で賃貸できるこのモデルが、市内や郊外に多数存在しています。中には“サンジェルマン”や“モンマルトル”など、パリの最高級エリアの施設もあり、“パリの極上生活”も体験できます。

■オーベルジュ
近年、日本でも注目を集めていますね。ホテルではなくレストランが主体で、レストランに付帯して2~5室の客室を備えている施設のこと。フランスの郊外に多く点在しています。中にはミシュラン星付きの名店で客室を持っているところもあります。

■ゲストハウス
とにかく値段の安さに重きを置いた宿泊施設。学生やバックパッカーによる利用が多いのも特徴です。一般的なホテルとは異なり、部屋によっては個別のトイレ、バスルームがない場合もあります。東南アジアなどでは、エアコンの有無、ファンの有無によっても部屋のグレードが変わることも……。

中国では、四つ星、五つ星クラスの大型ホテルが同じ敷地内の離れとして、「1ベッドで○元」というドミトリー形式で持っていることもあります。1泊から利用はできますが、長く滞在すればするほどディスカウントを受けられることも多いです。

リゾートホテル

リゾートホテルとは、ビーチ、高原、マウンテンに立地する”レジャー”を主な滞在目的に建てられたホテルです。シティホテルが縦型のビルに対して、リゾートは広大な敷地の中に4~5階建ての横型。または、一戸建てのヴィラがリゾート内に点在する”ヴィラタイプ”も多くなっています。景観に恵まれた立地のものが多いので、”オーシャンビュー”か”シティビュー”かによって値段は異なります。
インド洋・モルディブに浮かぶ豪華水上ヴィラ。SONEBA GILI RESORT & SPA

全室完備されているプライベートデッキスペース
■マウンテン/ビーチ・リゾート(例:アマン、バンヤンツリー、コモ・ホテルズなど)
広大な敷地にヴィラ、プール、スパ、レストランが点在し、リゾート内で全ての時間を費やす“完結型リゾート”。リゾート内で過ごす時間が長くなりますので、スパやアクティビティーなど、ファシリティーやプログラムを事前にチェックしておきましょう。

■ヴィラ/ロッジ
営業形態には、ホテルと同様の施設と、“別荘”や“コンドミニアム”のような貸切タイプの2通りあります。元々、豪華な別荘や邸宅を宿泊施設として利用。一軒で4~5部屋のベッドルームがあり、小グループや2~3ファミリー向き。ヴィラはバリ島やハワイに、ロッジはニュージーランドや南アフリカなど元イギリス圏のエリアに多く見られます。利点は、別荘感覚で施設を利用できるので、“完全なプライバシー”が確保できます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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