ホテル/東京のホテル

庭のホテル東京

『庭のホテル東京』は、水道橋という和の風情が今も感じられるエリアにオープンしたホテル。ホテルの中央にその名のとおり庭を配置し、室内も旅館のDNAを受け継ぐ感覚が新しい。

村上 実

執筆者:村上 実

ホテルガイド

『庭のホテル東京』 ~和モダンの新感覚ホテル

庭のホテル東京のエントランス
和を感じさせるカーペットも印象的なエントランス
2009年3月に開業した『シャングリ・ラホテル東京』以降、ホテル業界ではあまり話題のホテルが登場してこないと思っていたら、ありました、話題のホテルが。まずネーミングからしてインパクトがある。

『庭のホテル東京』

変わっていますね、この名前は。まずはホテルのネーミングのミステリーから今回は紐解いていくと……。

場所は水道橋。JR水道橋駅から徒歩3分という絶好のロケーション。周辺には江戸から明治期にかけて創られたたくさんの文化遺産がある。出版社と大学が多いから街を歩いてみると独特の風情が感じられる。ちょっと足を伸ばせば神田の古本街。そんな街の風情をそのままホテルのコンセプトにしている。粋ですっきりとした江戸の「和」を意識しながらモダンでシンプルという「美しい和のホテル」。

“ロビーを見ればそのホテルの全てが分かる”というぐらい、ロビーには、そのホテルのホスピタリティの真髄が表現されている。旅館から新たに生まれたこのホテルにはフルサービスの大型都市ホテルでも宿泊特化型でもない、全く新しいこれからの“日本のホテルの理想像”を感じ取ることができる。そのシンボライズされた意匠がロビーに集約されている。

ここのカーペットは畳と同じ敷き方で、模様の縞は「間道」(カンドウ)模様と言い、シルクロードを意味し、木漏れ日をイメージした水玉模様がちりばめられている。正に日本のホテルであることをさりげなく伝える床だ。

さて、ユニークなホテル名の由来だが、文字通りホテルのほぼ真ん中の位置に、大小の名石を配し、せせらぎが設えられている。まさに「庭のホテル」なのである。

ロビー
都会とは思えない癒しの空間を見せる中庭
ガイドが訪れたのは休み明けの月曜日。水道橋から徒歩でゆっくり歩いても5分とかからない。エントランスから続くその中庭は、小川の流れる小さな雑木林といったイメージか。

さまざまな種類(建物正面と中には合計47種類)の樹木や草花が植えられ、滞在中、どの角度からも緑豊かなこの植栽が見え、オアシスのような効果をもたらしてくれる。

ホテル全体の意匠は、和紙、行燈、障子窓、さらには以前のホテルの時に使われていた壁文様やシャンデリアまで巧みに新しいホテルに復元されているのが面白い。特にファンクションルームのホワイエには革象嵌作家の坂本幸子氏の手による革製のアートワークが目を惹く。ここはセルフサービスだが、コーヒー、紅茶、緑茶、冷水、キャンディを無料で提供しているのがうれしい。

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