お盆のお供え物の正しいマナーを身につけましょう
お盆にお供えをする際の正しいマナーを身につけましょう
お盆は「仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が正式名称です。東京などでは7月15日を中心に行うのに対して、農村地区では農作業の関係上8月15日を中心に行われます。
今回はお盆にお供えをする正しいお作法・マナー、お供えの水引や相場についてお話したいと思います。
お盆のお供え物の基本は「五供(ごく)」
お盆のお供え物の基本、香・花・灯燭・浄水・飲食の5つ「五供(ごく)」についてそれぞれ解説します。仏壇は薄暗いイメージがありますが、明るくしたほうが温かい気持ちになれます
- 香(こう)
香とは、線香や抹香のことです。悟りの世界に至るための修行道。ご先祖さまに香りを感じてもらいます。法事のときは抹香を使いますが、普段は長持ちする線香を使います。
※口で息を吹きかけて消さないで、手か火消し用のウチワで消すように気をつけて。 - 花
仏さまの世界をさらに高めます。故人の好きだった花や庭の花や野の花でもかまいません。喜んでもらえると思う花をお供えしましょう。
※お花が枯れないように水替えを忘れずに。 - 灯燭(とうしょく)
ともしびのこと。仏前を明るく照らし、その明るさが仏さまの知恵の象徴として、ゆっくりと燃えながらいつしか燃え尽くす様子が、人生の無常を表しているといわれます。線香をつける役目もあり、おまいりするときは必ずロウソクをつけます。
※ロウソクを消すときには、息を吹きかけて消さないこと。人間の息は不浄とされ、仏さまに失礼であるとされています。 - 浄水(じょうすい)
清浄な水を供えることによって、おまいりする人の心を洗う意味があります。毎日新鮮な水(水道水でOK)をお供えします。
※浄土真宗では、供えません。 - 飲食(おんじき)
毎日家族が食べるものと同じものを家族の食事の前にお供えする「仏前」と故人の命日や法事のときにお供えする「霊供膳(りょうぐぜん)」があります。霊供膳は、一汁三菜の精進料理ですから、魚や肉などの生臭いものは避けます。
※必ず食べられる状態でお供えします。あまり長い時間お供えしっぱなしにしないで、下げるように。
お盆のお供え物は、食べられる状態で
ちょっとした手間でもご先祖さまにとっては、その気遣いは嬉しいものです
包装紙に包んだままお供えしていませんか? よく考えると、そのままではご先祖さまが何をお供えしてもらったか知りたくても、中身がわかりません。またそれが食べ物であったら、どうやってそれをいただくのでしょうか。
・お菓子など箱入りのもの:プリンや羊かんなどは、箱から出したらそのままお供えできますが、クッキーやおせんべいなどは、小袋にとってすぐに食べられるように。
・果物:ぶどう等は、洗って小鉢に入れる。なしやりんごなどは、皮をむいて食べられるように。
・ソーメンなどの乾麺:必ず茹でて、おつゆもつけること。もちろんお箸も添えましょう。
いただいたお供えをとりあえず供えるのではなく、ご先祖さまにもちょっとした気遣いが大切です。お供えしたらそのまま放置せずに下げることを忘れないでください。
のしや掛け紙を結び止める「水引」のマナー
法事用の水引は地域によって違うので気をつけましょう
この「掛け紙」や「金封」などお金包みにかける帯紐のことを「水引」と呼びます。水引の使う目的は、贈り物やお金包みを結び止めること。またけがれのないものを贈るという意味もあります。また一度きりでよいことには結び切りを使う、つまり繰り返してほしくないことに使います。結婚、弔事全般、病気お見舞いなども結びきりですが、お供えも結びきりです。
※蝶結びはその逆の考え、何度あっても良いことです。たとえば入学、出産など。水引に使われる色は、白、赤、金、銀、黒、黄などがありますが、一色で使用する場合と組み合わせて使用する場合があります。関西地方では四十九日法要から黄色の水引。関東地方は一般的に黒白を使います。住む地域によって慣習がありますので、年配の方やお寺、葬儀屋さんに尋ねてみて下さい。
お盆のお供え物の相場
本来、線香、ロウソク、菓子などの供物や供花を持参するものでしたが、最近は供物料(現金)を包むのが一般的に。相手との関係性もありますが、3000円~5000円。初盆や新盆でしたら5000円~1万円が相場です。現金と品物、どちらでもかまいません。表書きは上段に「御仏前」「御供物」「御供」下段に自分の氏名など記入します。初盆供養に、提灯の代わりに贈る金包みとして「御ちょうちん代」など。
いかがでしたでしょうか? 知らなかったではすまされない、正しいお供えの決まりごと。しっかりと身につけておけば、安心です。
よくある質問
Q. お盆のお供え物はいつ送る? いつ渡す?
A. お盆の期間は地方によって様々です。関西では8月13日~16日(15日のところもあり)、関東では7月13日~16日(15日のところもあり)。持参するなら盆の入りである13日または、中日の14日にします。郵送する場合なら余裕をもって13日よりも前の日程までに送りましょう。
Q. お盆の帰省にはお供え物を持参すべき?
A. お供え物を持参する気配りがあると喜ばれると思います。帰省の際には手土産とお供え物をきちんと区別しなければなりません。仏教では殺生を禁じられているため、生ものはNG。お供え後、皆で分けることができる小分けしたお菓子がおすすめです。表書きを「御供」として、のし紙をつけるのが正式なマナーですので覚えておきましょう。
Q. お盆のお供え物、金額はどのくらいが一般的?
A. 相手との関係性もありますが、3000円~5000円でしょう。また初盆の後に会食が振る舞われる場合は、5000円~1万円が相場です。現金と品物はどちらでもかまいません。もし現金とお供え物の両方を考えているなら現金を少なめにするなど、調整してもよいと思います。住む地域によって慣習は様々ですので、配慮してくださいね。
Q. お盆のお供え物はいつからいつまで置いておくべき?
A. 一般的に7月13日を入りとし、お盆明け16日(15日のところもあり)までの4日間、また関西地方では8月13日からひと月遅れのお盆として迎えます。その期間中にお供え物を飾ります。
Q. お盆のお供え物、お返しの相場は?
A. お返しは後に残らない物と、たとえば食べ物や日常で使う消耗品が基本です。初盆(新盆)の場合のお返しの金額の相場は、いただいた品物の半額~3分の1程度となります。品物の場合は同額程度、またはお下がりのお菓子や果物を「粗供養(志)」と一緒に分けて配ります。いずれも住む地域によってその習慣は変わってきます。
※粗供養とは、法要のときに供養したことで感謝の意味を込めて粗品やお返しをすること。関東では「志」とされています。
※粗供養とは、法要のときに供養したことで感謝の意味を込めて粗品やお返しをすること。関東では「志」とされています。
Q. お盆のお供え物、後始末はどうすればいい?
A. お菓子や果物はお下がりとして皆でいただきます。また昔は「精霊流し」といって、許可されている地域のみ飾りやお供えを盆船にのせて、海や川に流したもの。現在は規制もあり難しくなってきています。近所の公園、神社やお寺などへ持っていき、お焚き上げをしてくれこともありますので、自治体などに問い合わせてみるのもよいでしょう。
また自分で処理する際には、他のゴミと分ける配慮をもって、塩で清め、半紙など白い紙に包んで捨てるとよいでしょう。その場合、燃えるゴミ・燃えないゴミときちんと分別するようにしてください。
また自分で処理する際には、他のゴミと分ける配慮をもって、塩で清め、半紙など白い紙に包んで捨てるとよいでしょう。その場合、燃えるゴミ・燃えないゴミときちんと分別するようにしてください。
Q. キリスト教の場合もお盆にお供え物は用意すべき?
A. キリスト教には、仏教でいうお盆にあたる日は決められていなくて、お供え物を置くことはしません。故人の命日や神に感謝の気持ちを表したいときなどに、お墓参りをする習慣があります。お祈りは故人ではなく、神に感謝を捧げるのがキリスト教です。白い花を墓石に添える、また自宅では十字架やマリア像を飾ったり、家庭用の小さな祭壇を置く場合があります。思い出の写真を部屋に飾り、故人の好んでいた食べ物や生花などを写真の前にお供えしてお祈りします。
Q. お供え物としてよく目にする、キュウリとナスにどんな意味がある?
A. 「精霊馬(しょうろううま)」といい、ご先祖様の精霊を送迎する乗り物を意味します。お迎えはキュウリの馬で少しでも早く、お送りはナスの牛で少しでもゆっくりという意味が込められており、キュウリとナスで一対です。夏の代表的な農作物であることからキュウリとナスが選ばれたといわれ、ご先祖様の御霊は東から帰ってくるとして、ヘタの部分を頭に見立てキュウリは西向きに、ナスは東向きに飾るなど置き方にも意味があります。
Q. お盆のお供え物にお寿司はマナー違反?
A. 肉や魚は「四つ足生臭」といわれ、お供えとしてはNG。仏教では殺生を禁じられていますので、お供えしてはいけないのです。お寿司の場合は当然生ものなのでマナー違反。特に夏の暑い盛りではすぐに傷むので避けます。例外として、故人がお寿司を好物としていたなら、お供えしてもよしとしましょう。ただしお供えしたらすぐに下げるなど、傷まないように気をつけることです。
Q. お盆のお供え物にスイカが良いとされるのはなぜ?
A. お供え物の定番として果物が多いのは、夏場に旬を迎える丸い形をした果物の種類が多いからです。丸い形は角がない、欠けるところがないので縁起が良いとか、円→縁とかけて、故人やご先祖さまとの縁が切れないようにと、昔から様々な諸説があるといわれています。
Q. お盆のお供え物にそうめんを用いる理由とは?
A. そうめんは果物のように丸くありません。縁起の良い円ではなく、その形は細くて長いですね。ではなぜお供え物のになっているのでしょうか。これも住む地域によっていろいろと諸説がありますが、幸せや喜びごとが細く、長く続くようにと願いが込められているからです。またその他にも平安時代の宮中でそうめんをお供えしていた(食べると熱中症や疫病にかからない説)、盆明けでご先祖さまがあの世へ帰る際に乗るキュウリの馬の手綱としていた、などあるようです。
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