また、夏の高水温期には、大半の種類が生き残るでしょう。
「ピラニア」などの仲間を放してしまえば、川遊びをしている子供達を襲わないとも限りません。
そして何よりも問題なのが、既存の生態系を破壊しかねないという事です。元々、日本の河川や湖沼には、大型肉食魚がほとんど見られません。そのような環境に南米産や東南アジア産の大型肉食魚を放してしまうということは、「羊の檻に狼を放す」といっても過言ではありません。
例えば、熱帯魚ではないのですが「ブラックバス」が最悪な例です。近年の釣りブームに乗じ、各地でゲリラ的放流が相次ぎ、既存の生態系を破壊しています。中には、絶滅もしくは、絶滅の危機に瀕している日本の固有種も多く見られます(例えば、ミヤコタナゴ、黒めだか、etc)。一度、環境省の発行する「レッドデータブック」をご覧になると解ると思いますが、想像以上に多くの日本産淡水魚が絶滅の危機に瀕しています。
水産資源として、殆ど利用のないこれらの種は、現実問題余り保護に力を入れられていないのが現状で、多くの生息地では減少に向かっています。
せめて、一般の人よりも「自然」に近い環境にいるアクアリストである以上、むやみやたらな放流などという暴挙は、控えていただきたいと思います。いや、そのような行為をおこなうのは、ごく一部の心無いアクアリストだけだと思いますが、それらのごく少数の心無い行為が、全体のイメージを悪くしているのも否めません。
それ以上に、生き物や自然を愛すべき立場にいると思われる人々が、自然破壊の一端に荷担している事は悲しいことです。
「アクアリストである以上、ナチュラリストでもあって欲しい」と節に願う今日この頃です。
<関連サイト>
・RDB(レッドデータブック)種情報検索
・レッドリスト 汽水・淡水魚類
・魚の写真
・魚種別飼育のポイント