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皮膚トラブルから犬を守る石けん(3ページ目)

犬の皮膚はとても薄くデリケート。なるべくなら自然素材の皮膚にやさしいシャンプーで洗ってあげたいと思っているわたしは、犬のためのせっけんを手作りしている人がいると知って、お話を聞きに行ってきました。

執筆者:坂本 光里

実際につくってもらった!


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出来たてほやほやの手作りせっけん

そこで特別に、里見さんの手作りせっけんがどうやって生まれるかを見せていただきました。その模様は写真でお見せするにとどめ、くわしくは里見さんのHPをお読みいただくことにしたいと思いますが、それを直接体験させていただいた感想を一言でいうと、「ワクワクして楽しそう!」「出来上がりが待ち遠しい!」。

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肉球のソープスタンプで
ペッタンすれば犬用に
ごくごく簡単に説明しますと、まず基本素材となる「油脂」と「アルカリ水溶液」を用意する。油脂とは、ベースオイルとなる植物性のオリーブ油やヤシ油(ココナッツ油)、パーム油、アボガド油、ひまし油など。アルカリ水溶液のほうは、苛性ソーダを精製水に溶かしたものですが、この2つを一定の条件下で混ぜ合わせたときに、その反応として生まれるのが脂肪酸ナトリウム、つまりせっけんというわけです。

順序としては、最初にアルカリ水溶液をつくって45℃まで冷まします。次に、油脂と植物性脂肪酸(ミリスチン酸など)を溶かして混ぜベースオイルミックスを作り、これを先のアルカリ水溶液と同じ45℃に調節する。そして次に、ベースオイルにアルカリ水溶液を少しずつ注ぎ、15~20分間攪拌するわけですね。

すると、あれよあれよという間に、透明だった油が白く濁り、ドロ~っとしてきます。そうしたら、ここで「スーパーファット」と呼ばれる、使い心地や機能をアップする油脂(ホホバ油など)や、愛犬にあったアロマオイルやハーブ、クレイなどのオプションを少量加え、せっけんの型枠に流し込む。あとはそれを保湿箱に入れて24時間寝かせ、固まってきたら型枠から出して約2週間乾燥させる。その後、使いやすい形にカットしてさらに3週間、風通しのよい冷暗所で熟成させれば“出来上がり”です。

精製水を計量
苛性ソーダを計量
苛性ソーダを
精製水に入れる
液温が45度に
下がるまで待つ
ベースオイルや
脂肪酸を計量
オイル等を湯煎で
45度まで上げる
オイルにアルカリ
水溶液を注ぐ
約20分撹拌する
アロマオイルやクレイ
などを入れる
型に流し込み
保温箱入れる
固まったら型から
出して2週間乾燥
カットしてさらに
3週間乾燥させる


●せっけんの基本レシピ(約1kg 苛性ソーダのディスカウント率20%)
【油脂類】
ベースオイル   オリーブ油 480g
パーム油 160g
ココナッツ油 80g
ひまし油 80g
脂肪酸      ミリスチン酸またはステアリン酸 25g
スーパーファット ホホバ油 15g

【アルカリ】    苛性ソーダ 90g
【水】       精製水 240g

●せっけん作りのプロセス
【Step1】(1日目)
・必要な道具と材料を揃える
・アルカリ水溶液を作る
・ベースオイルを作る
・2つを混ぜる
・スーパーファットとアロマオイルなどを入れる
・型枠に入れて丸1日保温する

【Step2】(2日目)
・型出しして乾燥させる

【Step3】(2週間後)
・使いやすいサイズにカットしてさらに乾燥

【Step4】(5週間後)
・出来上がり!
      『愛犬の心と体を元気にする 手作りアロマせっけん』より

アロマを使ってさらに品質アップ

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 静かに熟成を待つせっけんたち
里見さんのリビングの棚には、熟成中の手作りせっけんがいっぱい! この日、つくっていただいたせっけんは、どんな香りをしたどんな使い心地になるのでしょう。5週間後が楽しみです。

「もうひとつ手作りのよさについて言いますと、せっけんって、出来上がったときに、グリセリンという水を引き寄せる性質の副産物ができるんですね。このグリセリンを豊富に含んだせっけんは、皮膚に潤いを与え、しっとり感を保つのですが、市販のせっけんではこれを取り除いて、化粧品などに回してしまうわけです。手作りではそういうことはないわけですから、できたグリセリンがそのまま残っている。これがとても犬の毛の保湿にいいんですよ。洗った後、いつまでもしっとり感やツヤツヤ感が残るのはそのためです。

あと加えて言えば、わたしはドッグアロマテラピストでもあるので、つくるせっけんにはエッセンシャルオイルを入れることが多いです。たとえばシャンプー嫌いのワンちゃんなら、ラベンダーやイランイランなどを入れてあげると、落ち着いてシャンプーできるよう助けてくれますし、なにより飼い主さん自身の洗い上がりの満足度が違いますよ」(里見さん)

また、最後に里見さんは「せっけんか合成界面活性剤か見分ける方法」について、家庭でもできるやり方を教えてくださいました。
「合成界面活性剤かそうでないかを見分ける方法は、水に溶かしたシャンプー液をコップに入れて泡立て、その中にお酢を少量垂らしてみてください。それがせっけんなら中和されて白く濁り泡が消えますが、合成界面活性剤はそのまま泡立ち、水が濁るということも起こりません。

   せっけんと合成界面活性剤の見分け方   
泡が消え白く濁る

せっけん
泡は残り液は濁らない

合成界面活性剤
泡は残り白く濁る

せっけんと
合成界面活性剤の混合
※左はシャンプー原液、右は実験結果(写真提供:里見千佳さん)


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手作りせっけんで犬たちの皮膚を
よからぬものから守りたい
だけど、これだけでは合成添加物が使われているかどうかまではわかりません。
本当によいシャンプーを見つけるには、やはり飼い主さんが成分についての知識を持つこと、成分をしっかり確認すること(確認できないものは論外)、洗った後の犬の様子をよく観察すること、場合によっては自分自身で使ってみて刺激・保湿力・洗浄力などを確かめること、だと思います。本来ならこんなことを消費者がいちいちしなくても、すべての犬用シャンプーに、きちんと成分表示をするという基準が生まれる方がずっといいわけですけどね」(里見さん)

これには、わたしもまったく同感! 大事な愛犬たちを、皮膚のトラブルで痒がったり苦しんだりさせないためにも、1日でも早く薬事法をドッグケア製品にも適用してほしいものだと思います。 それとはまったく別ですが、手作りせっけんの魅力にすっかりはまってしまったわたし。これからアッシュとハービーのために、手作りに挑戦してみようと思います。

Peach Blossom
http://www.pb-dogsoap.com/
犬のための良質なせっけんとアロマテラピーを紹介している
里見千佳さんのサイト。
良質な植物油とにエッセンシャルやハーブ、
クレイなどの自然素材を活かして一つひとつ丁寧につくられた
ハンドメイドソープやアロマテラピーグッズがお求めいただけます。
また里見さんが主催される手作りせっけんやドッグアロマテラピーの講座など、
イベントやセミナーのスケジュールも掲載されていますので
ぜひ訪ねてみてくださいね。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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