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皮膚トラブルから犬を守る石けん(2ページ目)

犬の皮膚はとても薄くデリケート。なるべくなら自然素材の皮膚にやさしいシャンプーで洗ってあげたいと思っているわたしは、犬のためのせっけんを手作りしている人がいると知って、お話を聞きに行ってきました。

執筆者:坂本 光里

皮脂膜のバリアーを破る合成界面活性剤

では、これのどこが問題なのかですが…
「合成界面活性剤はとても安価でつくるのに時間がかからず、洗浄力をアップさせる助剤の登場であっという間に一般家庭に普及しました。だけど合成界面活性剤は、皮脂膜のバリアーを破る強い浸透力を持ち、細胞を破壊するタンパク変成作用があるといわれています。また自然界にこれをそのまま流すと、分解されにくいために、生態系を壊す恐れもある。それが犬たちの皮膚に何の影響もないとは考えられません」(里見さん)

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手作りせっけんのベースとなる植物性オイル

これは動物の皮膚にも容易に浸透して細胞を破壊するともいえますよね。
さらに里見さんによれば、多くのシャンプーには合成界面活性剤とともに殺菌・防腐剤や合成香料、タール系の色素などが使われており、こうした合成添加物は合成界面活性剤によってバリアーが破壊された皮膚から直接体内に侵入する可能性もあるとか。合成添加物の中には、発ガン性のあるものや環境ホルモンとして悪影響が指摘されているものも多い。ドッグフード選びでこうした“毒”を取り込まないよういくら気を使っても、シャンプーによって皮膚から吸収したのでは意味はありませんよね。

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好きなハーブなどを加えるのもよい
では、市販のせっけんなら絶対に安心なのでしょうか?
「天然の動植物性油脂を原料にしているといっても、前述のような合成添加物が使われているせっけんもたくさんありますし、薄くデリケートな犬の皮膚を考慮して作られたものとは思えません。ですから成分表示義務のない犬用シャンプーをやめて、せっけんを使いさえすれば安全かと問われれば『?』としか答えようがないというのが現状なんです。
無添加で自然の素材から作られる本物のせっけんは、自然界に流した時点から分解がすすみ、わずか1日で水中のカルシウムなどと結合して魚のエサになったりします。これに対して合成界面活性剤は、そのタンパク変成作用によって水の浄化を行う微生物を死滅させ、魚介類の体内に蓄積されて、それを食べた人間などに影響を及ぼす可能性もあると考えられます」(里見さん)

わたしは20代の頃、よく尾瀬の山歩きを楽しんだものですが、尾瀬の山小屋では「シャンプーやせっけんを使わないでください」という注意書きを目にしました。それは合成界面活性剤や合成添加物の流出で、尾瀬沼の植物や生物が死滅してしまう恐れがあったからですね。微生物や植物に悪影響があるなら、犬のような小動物にも影響がないわけはないと思います。

犬をせっけんで洗うのはよいこと?

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マイ・フェイバリットはこれ!
しかしながら一般的には、「犬をせっけんで洗うのはよくない」という説がまことしやかにいわれてきました。これはどういうことなのでしょう?

「犬をせっけんで洗うとアルカリ性に偏りすぎる、アルカリは犬の皮膚や毛に悪いという風説を言われているのでしょうが、犬の皮膚は人間と違って中性から弱アルカリ性に近く、私がお友だちのワンちゃんたちにモニターをしてもらった限りでは、個体差はあったものの、ほとんど問題はありませんでした。また実際にせっけんで洗った後、皮膚の表面のpHを測ってみましたが、シャンプー後はむしろ弱酸性寄りで、徐々に犬本来のpHに戻る結果になりました」(里見さん)

ということは、手作り食は栄養が偏る恐れがあるため総合栄養食を与えるのが一番だとするドッグフードの世界と同様、自然素材のせっけんよりも合成界面活性剤使用のシャンプーのほうが犬には向いているというのは一種の商業用情報なのでしょうか?
実際、欧米では自家製せっけんで犬を洗うということが、昔から日常的に行われてきたそうです。

犬の皮膚はとても「雄弁」

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 ボクもお気に入りのせっけんで
洗ってもらってるよ!
現在、わたしの回りには皮膚のトラブルを抱えている犬たちがたくさんいて、専門の獣医さんにかかっている人たちも少なくありません。しかしながら、ガイド記事でもたびたびお伝えしてきたように、皮膚病は治る病気ではなく「つきあっていく病気」であり、根気とお金のかかる治療というのが専門家の意見で、これはという特効薬はなかなか見あたりません。
その原因についても、菌の繁殖によるものだったり、酵母だったり、寄生虫の仕業だったり、何かのアレルギー反応だったり、内分泌系の病気の一症状だったり、ステロイドの副作用だったりと、じつにさまざまで、たとえ原因が特定できても決定的な治療法はなかったりするわけですね。そう考えると、犬の皮膚というのは、何か体内の異常や不具合を知らせるサインボードなのかもしれない。犬の皮膚はとても「雄弁!」なのです。

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アロマオイルも有効に使える
ここで思うのは、そんな皮膚のトラブルの原因のひとつには、皮膚から直接吸収される何らかの化学物質の影響もあるのでは?という疑問です。
わたしはずっと、犬の身体を悪くする最大の原因は口から入れるものではないかとの思いから、食べ物に強いこだわりを持ってきましたが、ひょっとしたら口以外からも体内への吸収は行われているかもしれない。そしてその第一は、日常的に使うシャンプーではないかと…。これはノミの駆除薬が、皮膚を通して血流に乗せ、全身に効果を及ぼす仕組みになっていることからも推測できますが、犬の皮膚はとても吸収性がよく、いろんなものを体内に取り込みやすい性質をしているからですね。

「犬の皮膚は人間よりもずっと薄くてデリケートなんですね。また皮膚を守るはずの被毛は、ときに皮膚炎の原因となる汚れや菌などを蓄え、においを拡散する役割を果たす。だから定期的に汚れを洗い落としてあげる必要があるわけですけど、それが合成界面活性剤のせいでバリアーをはがされ、身体に害のある添加物の侵入を許してしまう一因になるというのでは意味がありません。“身体に必要ないものを入れない”というのが、本当の健康づくりの第一歩だと思います」(里見さん)

-->>実際につくってもらった!


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