突然、一つ屋根の下で犬との1週間
ふとしたことから犬の声が聞こえるようになってしまった臭気判定士の青年。犬の本音がわかったことから彼自身の人生が大きく変わってきます。
ある日、そんな直喜のもとに父親がむりやり押しつけた迷い犬のフレンチブルドッグ(直喜がペスと名づける)がやってきます。
アパートにいきなり置き手紙ならぬ置きDVDと犬を残し、郷里の同窓会に出かけてしまった父親の話によれば、犬は近所のスーパーで拾ったとか。なんでこんな犬の面倒をみなくちゃいけないの!と怒りつつも、直喜はしかたなく一つ屋根の下で犬との1週間を過ごす羽目になります。
対“犬”の経験値ゼロの男としゃべる犬
彼はあるショッキングなにおいとの遭遇がきっかけで突然犬の声が聞こえるようになったのです。異常に鼻が利く彼は、犬に選ばれたのでしょう。
しかしながらこのペス(声・遠藤憲一)、口を開けばお下劣きわまりない“ワン”ウェイ・トークの連発! 放送禁止用語すれすれの言葉が、なぜか関西弁でポンポン飛び出します。このあたり、脚本の永森裕二さんの観察力はバツグン。犬ってじつはこんなことぐらいしか考えてないのでは…と思うときがありますよね。
ともあれ、対“犬”の経験値ゼロの人間としゃべる犬。何も起こらないはずがありません。平凡だった彼の日常は一変することになります(なぜか直喜はペスを連れて出勤する)。
仕事のやり方しかり、ひそかに想いを寄せる女性、音無ちぬ(宮下ともみ)への接し方しかり、職場でのコミュニケーションしかり…。それはおかしくもあり、ちょっぴり切なくもあり、直喜をどんどんポジティブで人間らしい存在にしていきます。
新しいタイプのドッグファンタジー?
とにかく、製作・原案・脚本を担当した永森裕二さんの「体よくまとめられた、表層だけ動物を擬人化して泣かそうとする犬物語とは一線を画したかった」との言葉どおり、この映画、ただの愛犬モノではありません。永森さんは、インタビューで某ドッグフレンドパークを取材したときの感想を、こう話しています。「犬は、臭い。そして、うるさい。さらに、言う事きかない。なんたることだ。僕が犬を飼っていたら、まさに愛し切れない自称犬好きバカ飼い主になっていただろう。犬は、かわいいが“獣”。そこがわかっていない奴は飼ってはならぬようだ。みんなどうやって飼っているのか。否、どうやってコミュニケーションをとっているのか…」
そんな呻吟の末に生まれたのが、犬の本音と向きあわなければならなくなった直喜と飼い主に忠実(?)なペスとの不思議な交流を描いたドッグファンタジーだったわけです。さえない男と、見た目はかわいいのにエゲツナイことばかり言う犬に、なんだかな~と思いながらも引き込まれ、見終わったあとはほんのり気持ちがあたたまっている、『イヌゴエ』はそんな一本でした。
製作・原案・脚本/永森裕二 監督/横井健司(『SEMI-鳴かない蝉』『ヒッチハイク 溺れる箱船』) 主演/山本浩司(『リアリズムの宿』『魁!!クロマティ高校THE☆MOVIE』) ブン太(映画初出演) 馬渕英里何(TV『白線流し』)、宮下ともみ(『稀人』)、 村上淳、手塚とおる、遠藤憲一(『SEMI-鳴かない蝉』) |
★2006年2/18より渋谷シネ・ラ・セットにて戌年ロードショー 全国順次公開
●初日舞台挨拶情報!
山本浩司、馬渕英里何、宮下ともみ、横井健司監督の来場決定!
1回目終了時と2回目開始時の2回行うそうです。
★名古屋地区 「名古屋シネマテークで3/18(土)~24(金)上映決定!
★大阪地区 第七藝術劇場で上映決定!