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専門医は[二歩先をゆく獣医さん]でチェック!(2ページ目)

パートナーの坂本が新しく本を出しました。それがこの『二歩先をゆく獣医さん』(カッパブックス)です。外科・内科・皮膚科・腫瘍科・歯科などの専門医療を行う獣医さんたちが登場します。

執筆者:坂本 光里

二歩先をゆく獣医さん

プロローグ 専門医がいない日本の獣医界

日本のペットの獣医さんは、95%以上が全科診療、つまりすべての病気に対応する先 生ということになっています。残る5%の先生たちは、大学にいて自分の専門分野を 持って研究と臨床と教育に励んでいる人たちと、特定の科目のスペシャリストとして まわりから認められている開業医の先生たちということです。そうした人たちは、み んな専門医とは呼ばれないのですが、じつはその分野においては第一人者で、科目別 の小学会とか獣医師会の集まりとかで講演をしたり、啓蒙活動をしたりしています。 もちろん、まわりの獣医さんから紹介されて、自分の分野の難しい症例を診たりもし ます。だけどそんな人たちは、なかなか私たち飼い主には顔を見せてくれません。そ れはなぜか? ここで簡単に解き明かされています。

第1章 獣医界のブラックジャックたち

第1章のテーマは「外科」です。何度やってもつかない骨折治療や股関節形成不全、 難しい関節炎などの病気に対処するスペシャリストの先生たちの神業的な技術力、そ してペット医療の先進国アメリカに負けない高度医療技術を完成させてきた日本の心 臓手術、めざましく進歩しつつある動物の歯科治療と眼科治療の実際がレポートされ ています。

■外科・救急医療のスペシャリスト 4人
■心臓病のスペシャリスト 3人
■歯科・眼科のスペシャリスト 2人

第2章 動物たちの身体の謎にアプローチする

ようやく解き明かされつつある動物の身体の中の“神秘”に迫る獣医界のスペシャリ ストたちが登場します。神経病はおもにてんかんと椎間板ヘルニア、腎臓病は腎臓結 石や腎不全、肝臓病は肝臓ガンや門脈シャント、内分泌病はクッシング症候群や甲状 腺機能低下症などを取り上げ、一般の町の動物病院ではいかにこれらの病気が見つけ にくいか、飼い主はどうすればそのサインを見落とさずにすむかが書かれています。 すばらしいヘルニアの手術、成功率ほぼ100%の腎臓移植、きわめて難度の高い門脈 シャントの診断と手術など、ふだんは見えない高度獣医療の実際が見えてきます。

■神経病のスペシャリスト 4人 
■腎臓病・泌尿器病のスペシャリスト 2人 
■肝臓病のスペシャリスト 1人 
■内分泌病のスペシャリスト 2人

第3章 むずかしい病気を追いつめる!

最後は、多くの飼い主たちが苦しみ悩まされているもっとも難しい病気---皮膚病・ ガン・血液病に対するスペシャリストたちの挑戦が描かれます。とはいえ、それらは 人間の医学でさえ克服できないでいる病気ばかり。アトピーにしてもガンにしても猫 エイズにしても治る病気ではありません。むしろその難病とどうつきあっていくか、 飼い主はどう立ち向かい、どう闘っていくべきかということになってきます。しかし、 飼い主さえその気になれば、いまは病気と共存しながらうまく長生きをさせていくこ とだってできるのです。それには、何より病気の正体を突きとめることが大事。それ を確定診断といいますが、そこに向けてのスペシャリストたちの努力と探求心が書か れています。

■皮膚病のスペシャリスト 3人
■腫瘍のスペシャリスト 3人
■血液病・臨床病理のスペシャリスト 2人

エピローグ 二歩先をゆく専門医を探せ!

どうして専門医をつくる制度はできないのか? それには実に根深い事情があります。 それを知るためには、日本の獣医さんの成り立ちと、それを管轄している官庁や教育 の現場である獣医大学の問題にまで立ち入らなければなりません。少し難しい話なの ですが、ここを飛ばして「早く専門医をつくれ」といっても何も動かないでしょう。 では、どうするか? 飼い主は何を訴えかけていけばいいのか。ズバリの解答はあり ませんが、ヒントはあります。私たち飼い主が勉強をして情報を交換しあい、スペシャ リストの先生たちをバックアップしていくということです。言葉は悪いですが「既成 事実をつくる」ということ。それが一番の近道であると、坂本は書いています。



病名がわからないまま何かのクスリを飲まされている、何カ月も苦しんで獣医さんに 通っているのに治らない、そんな飼い主さんは私のまわりにたくさんいます。
病気の原因を突きとめることが、必ずしもよいことばかりとは限りません。人間でもそうで すが、昔なら知らず知らずのうちに衰えて死んでいったものを、ガンだと知ったため に苦しみと恐怖に満ちた闘病生活が始まってしまう。それがはたして動物にとって本 当に幸せな----QOLにつながるだろうか。
そんなことも考えてしまいます。ですが、 それはやはり知った上で、飼い主がどんな道を選択するか、あるいはその子との残り 少ない日々をどう過ごすかを考えさせてもらいたい。
わたし自身は、そう思います。 そしてそのためには、ここに登場するスペシャリストの先生たちの情報がおもてに出 て、多くの飼い主たちが高度医療のことを知ることが一歩になるのではないか、そう 思いました。

『二歩先をゆく獣医さん』
発行:光文社カッパブックス
ISBN 4-334-00740-6
¥890

イラスト:さとう有作
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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