牛肉料理の多彩な楽しみ

スヴィ

チェコを代表する料理「スヴィーチコヴァー」。うしろの白いパンが「クネドリーキ」。シチューは野菜のうまみを強く感じます
 

うし

「タルタルステーキ」。器に入ったさまざまな香辛料を混ぜて、好みの味にします

チェコ人にチェコを代表する料理はなにかと尋ねたら、「スヴィーチコヴァー」と答える人が多いと思います。これは茹でた牛のヒレ肉、時間をかけてじっくり野菜を煮込んでつくったシチュー、それにクネドリーキを組み合わせた料理で、甘くないホイップクリームとクランベリーソースが上にかかっています。

正式には三日三晩かけてつくるたいへん手の込んだ料理で、上品な味わい。結婚式など、お祝いの席にも出てくるメニューで「スヴィーチコヴァーがちゃんとつくれないと、お嫁さんにいけない」とチェコでは言われています。

「グラーシュ」もスヴィーチコヴァーと並んでチェコを代表する料理です。もともとはハンガリー発祥の料理だといわれていますが、スパイシーなハンガリーのグラーシュに比べてマイルドで、日本のビーフシチューに似ています。チェコの人はみなさん、「うちのおばあちゃんのグラーシュがいちばんだ」と思っています。

「タルタルステーキ」は生の牛肉を、ニンニクをこすりつけた揚げたパンにつけて食べます。パプリカや塩、マスタード、タマネギのみじん切りなどさまざまな調味料といっしょに出てきて、それぞれ好みの味付けをします。なかには、隠し味として飲みかけのビールを加える人も。上質の赤身肉のみを使っており、良い牛肉がないときは、店にないことあります。

ローストビーフや牛肉のカルパッチョもビールによく合う料理。レストランによってはメニューにステーキもありますが、残念ながら肉がかたかったり、筋っぽかったり、焼き加減もいまひとつのことが多いです。
 

多彩でおいしいチェコの豚肉料理

ぶた

ブタの膝の部分の骨付きローストポーク。ボリュームがあり、迫力に驚くことでしょう

チェコの豚肉はとてもおいしく、鶏と並んでいちばん食卓に上る食材。たいていのレストランやホスボダにある、いちばんの定番は「ジーゼック」と呼ばれる料理。これはトンカツに近いものですが、日本のように厚みはなく、薄くたたいたうえ、とても目の細かいパン粉を付け、揚げ焼きしたものです。少しきつめの塩味がつけてあり、ソースも付けず、そのまま食べます。カリカリとして、トンカツとは違うスナック的な味わいが楽しめますよ。メニューの横には肉の大きさがグラム単位で表示されていますので、料理のボリュームの目安にどうぞ。多すぎると感じたときは、レストランによっては半分のボリュームで用意してくれるところもあります。

ローストポークはいくつか種類がありますが、1キロ近くある膝の部分の骨付き肉ローストは迫力満点。盛りつけには各レストランがくふうを凝らしていて、専用の金串に突き刺さっていたり、肉にナイフを刺してあったり、なんともワイルドな印象です。焼きたての皮のゼラチン質は香ばしく、ねっとりとおいしく、たっぷりとコラーゲンを摂取できます。塊肉の大部分は骨なので、1キロといっても実際食べられるのは半分もありませんし、値段も他の料理と比べてびっくりするほど高いということもありません。旅の思い出として体験するもの一興でしょう。

モモの部分をそのままハムにした「プラハハム」はとてもおいしい、本物のハムです。添加物が少ないかわりに塩気が強いですが、肉のうまみがストレートに伝わってきます。

自然な味わいのチェコの鶏料理

鴨肉を使ったシンプルな一品。鴨の深い味わいを天然のキノコを使ったソースが引き立てます

鴨肉を使ったシンプルな一品。鴨の深い味わいを天然のキノコを使ったソースが引き立てます

とり

チェコの鶏はジューシーで、とてもおいしいです

鶏肉を使った料理も、豚肉と並んでよく食べられます。いちばん多いのは、チキンソテーとチキンカツ。鶏独特の臭みがほとんどなく、柔らかくジューシーな味わいです。郊外のレストランでは屋外で炭火を使って焼いているところもあり、焼き鳥感覚で楽しめますよ。

鴨もチェコでは一般的な食材で、野性味を感じさせるおいしい料理。日本に比べてリーズナブルに鴨を堪能できます。一匹の鴨を4分の1ないし2分の1の大きさにし、ローストしたものが代表的で、「ゼリー」と呼ばれる紫色のザワークラフト(キャベツの酢漬け)に、クネドリーキを組み合わせています。クネドリーキはパンタイプのものではなく、ジャガイモ入りやマーブル模様のものがついてくることが多いです。

シンプルに焼いたものに、たっぷりキノコの入ったソースをかけるメニューも日本人好み。チェコはキノコの種類が豊富で、シーズンともなるとキノコ狩りを楽しむ人が森に繰り出します。こうした天然のキノコを使った料理はとくに味わいが深いものがあります。
 

川魚が中心のチェコの魚料理

マス

ニジマスの香草焼き

魚はコイやマス、カワカマス(パイク)などの川魚が中心で、ウナギもあります。ウナギはぶつ切りにして油で炒めるという料理法が主流。魚屋さんの値段で見ると、カワカマスがいちばん高級で、マス、コイがそれに続きます。カワカマスは臭みがなく、淡泊な肉質で、海の魚のような味わいです。

なかで、いちばん一般的なものといえばやはりマスでしょう。おなじみのニジマスのほか、同じマスの仲間であるブラウントラウトに似た魚をよく見かけます。香草をのせて焼いたものや、パン粉をつけて揚げたフライなどの料理法があります。

クリスマスのシーズンになると、チェコの街ではコイを売る屋台が並びます。これは、クリスマスにはコイとポテトサラダを食べる風習があるため。コイはフライにして食べることが多く、頭はスープの具にします。コイというと泥臭いというイメージがあるかもしれませんが、チェコでは臭みもなく、おいしいコイと出会うことが多いです。

レストランのなかにはマグロやサケ、イカの料理を用意しているところがありますが、残念ながら海の魚の種類はあまり期待できません……。海の幸はチェコ料理とはいえないので、イタリア料理かクロアチア料理のレストランに行くことをおすすめします。

チェコにある3種類のパン

パン

チェコのパン。手前が「フレバ」で、奥が「ホウスカ」です

チェコにはロフリークとホウスカという独特のパンがあり、ホテルの朝食でも、レストランでも出会える定番中の定番です。味そのものは変わらないように感じるのですが、かたちがそれぞれちがいます。ロフリークはコッペパンのようなかたちに巻いていて、三日月のかたちをしたものもあります。ホウスカはカメの甲羅みたいなかたちです。

プラハの街角にはホットドッグを売る店があちらこちらにありますが、このホットドッグに使うのがロフリークです。ロフリークに穴を開け、そのなかにソーセージを入れます。注文すると、ケチャップをかけるか、マスタードをかけるかと聞かれますので、希望のものをオーダー。

その他、フレバという大きなパンも定番。レストランではスライスして出てきます。中の白い部分は柔らかいですが、周囲は少し固め。なんとも素朴な味わいで、パン本来のうまみが感じられるはず。
 

甘い人に目のない人におすすめのチェコのデザート

パラチンキ

チェコ版クレープの「パラチンキ」。さまざまなバリエーションがあり、これだけでも十分おなかがいっぱいになります

めど

チェコでケーキといえば「メドヴニーク」です

チェコの人たちは甘いものが大好き。夏の暑い時期だと、アイスクリーム屋さんに老若男女を問わず、たくさんの人が並び、歩きながら食べています。レストランのメニューにだっていろいろな種類のアイスクリームが用意されています。アイスクリーム以外に注目のデザートはこんな3種類。

■メドヴニーク
メドヴニークはハチミツとコンデンスミルクをたっぷり使った、甘くてボリュームたっぷりのチェコならではのケーキ。子どもの誕生日会に使われることも多いです。たいていのレストランにはあり、スーパーマーケットなどでも手に入ります。

■パラチンキ
パラチンキはチェコ版のクレープです。街のパラチンキ屋さんでは中にジャムを塗ったり、チーズやハムを挟んだりしているものが多く、レストランではアイスクリームやフルーツ、ジャムなどが添えられています。

■チョコレートフォンデュ
いまチェコで人気のチョコレートフォンデュ。チェコのデザートではありませんが、家電売り場にはチョコレートフォンデュ専用の機械を売っているほど、流行っています。溶かしたビターチョコレートにイチゴやリンゴ、バナナなどいろいろな果物をつけて食べるのですが、会話を楽しみながらつまむのにちょうどよいデザートです。

甘いものに目のないチェコで、ぜひ好みのデザートを見つけてください。

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