チェコ料理とは?

グラーシュ

チェコ料理の代表のひとつ、グラーシュ。写真のようなパンの器に盛りつけられることもあります

おや

「聖ヴァーツラフ風の揚げリンゴ」。甘さがほどほどの一品です

日本ではあまりなじみがありませんが、チェコ料理は一般に日本人好みの味と言えます。イタリアやフランスの料理のように洗練はされていませんが、素朴で、シンプルな料理は、味付けもマイルドで、ヨーロッパの国々を旅行してチェコに来た人には、「なにを食べてもおいしーい!」と喜ばれることが多いよう。

料理の中心はやはり肉。牛、豚、鶏のほか、鴨、キジ、あひる、季節によってはシカやウサギなどのジビエもメニューを賑わせます。料理法も、焼いたものがあり、煮込んだものがあり、揚げたものがありと、選択肢が豊富。大きなイベントがあるときは、ブタの丸焼きや、大きなプラハハムの固まりを焼いている屋台が出て、おいしそうな匂いにつられた人びとが行列をなしています。

チェコは海がない国なので魚料理はコイやマス、カワカマスなど川魚が中心で、海の魚はほとんどお目にかかれません。ニシンの酢漬けやスモークサーモンぐらいでしょうか。しかし、近ごろはイタリアなどから新鮮な海の幸がプラハにも流通するようになり、魚料理を出すレストランが増えているようです。

料理は肉や魚のメインとは別に、付け合わせを選びます。この付け合わせは「クネドリーキ」と呼ばれるチェコ独特の茹でパン、ジャガイモ、ライスなど、さまざまなものが用意されています。

クネドリーキにはいくつかの種類があり、パンのような普通のクネドリーキのほか、ジャガイモの入ったものやマーブル模様のもの、イチゴやプラムなど、果物の入った「オボツニー・クネドリーキ」もあります。このクネドリーキは砂糖や蜂蜜がかけてあり、おやつ感覚なのですが、日替わりのランチ定食などで立派な主食となることも。

これは、ジャガイモにも同じことが言えます。チェコでいうジャガイモは単なる付け合わせに終わらず、主食としても考えられているのです。まさに、日本人にとってのお米感覚。フレンチフライや茹でたジャガイモ、マッシュポテト、ジャガイモサラダなど、その種類は多種多様。好みによって選べますが、主食というだけあってどれも量は多いです。ただ、チェコのジャガイモは、味が濃く、たいへんおいしいので、意外とペロリと食べられてしまいます。ダイエット中の人は、要注意!

一般にプラハの中心部のレストランよりも郊外のレストランや、地方にある小さな街のレストランのほうがおいしいチェコ料理に出会えることが多いように感じます。地方を旅行する機会があれば、ぜひお試しください。北海道ほどの面積しかないチェコでは、日本ほどには料理に地方色はありませんが、それでもその土地ならではのものとの出会いがあります。

日本人にとって一品の量が多いことが多く、とても食べきれないこともありますが、チェコの人たちは前菜、スープ、メイン、デザートと、ペロリと平らげてしまいます。
 

スープに感じるチェコ料理の魅力

スープ

ニンニクスープ「チェスネコヴァー」

チェコ料理のおいしさを感じるのは、シンプルでストレートというチェコ料理の魅力が凝縮されたスープがいちばんわかりやすいと思います。多くのレストランでは、定番のスープを2、3種類と、「本日のスープ」という日替わりのスープを用意しています。

代表的なのは「チェスネコヴァー」というニンニクスープ。名前の通りにニンニクがたくさん入ったスープで、ニンニクの味と香りがそのままスープの特徴になっています。とろけたチーズが入っていることもあります。「ジャガイモスープ」はすりつぶしたジャガイモでつくったポタージュ状のスープで、これもニンニクがよく効いています。「野菜スープ」はいろいろな野菜が入っていて、野菜のうまみが味の決め手。

チェコでいうスープは日本の味噌汁と同じ「家庭の味」で、レストランによって味や見た目の印象がずいぶんちがいます。ぜひお気に入りのスープを探してみてください。とくに寒い冬は身体が温まり、おすすめです。また、ボリュームのあるチェコ料理に疲れたときにはスープのみ注文でもOKで、スープにパンだけ注文をしているチェコ人も多いです。
 

ビールによく合う冷菜

ウトペネッツ

「ウトペネッツ」。酸っぱい味が意外にビールとよく合います

ヘルメリン

カマンベールのオイル漬け。大きな唐辛子にびっくりしますが、ちっとも辛くありません

プラハの人たちの飲み方を見ていると、ひたすらビールを飲みつづけ、おつまみを頼んでいる人はあまりいません。「ビールは“水パン”だから食べなくてもだいじょうぶ」とプラハ人は豪語しますが、日本人はやはりおつまみを頼みたくなります。

チェコではメニューで冷菜の代わりに「ビールに合う料理」としているレストランがあるだけあって、どれもビールによく合うおつまみばかり。代表的なものをあげると「ウトペネッツ」。チェコ語で「溺死体」を意味するこのメニューはソーセージの酢漬けで、酢に浮かんでいるソーセージが溺死体のように見えることからその名がつけられました。チェコ人のユーモアセンスをうかがい知ることができる一品です。自家製のものが多く、レストランやホスポダ(チェコ語で居酒屋のこと)によって味がずいぶんちがいます。

「ザビナーチュ」はニシンの酢漬けです。酢でよくしめてあり、しめ鯖のような味わい。タマネギなどの野菜といっしょに丸く巻いているのが特徴で、そのかたちからチェコ語ではアットマークのことを「ザビナーチュ」といいます。カマンベールチーズをオイルに漬けたものもポピュラーなメニュー。パプリカで辛く味付けたものもあります。ただし、チェコ語で「辛い」と書いてあるものは、たいして辛くないものが多いです。